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【短歌】明け方の海辺、朝凪
「第7回笹井宏之賞」に応募させていただきました。2年連続です。
結果は最終選考にも残らず、実力の無さをひしひしと痛感しました。
前回の応募作とはテイストを変え、なるべくフラットに、なるべく肩の力を抜きながら生み出した50首です。結果は振いませんでしたが、やり切って投稿するという目標はクリアできましたし、未来の僕の糧となる50首になってくれたと思います。
また次回の笹井宏之賞にも挑戦します。とても短歌が好きなので。
題
「明け方の海辺、朝凪」
明け方の海辺、朝凪、君だけがぼくの希望で絶望でした
眠らせていたはずだった花の夢 夏に燃え残る春の焦燥
サイダーの泡みたいだねアバンチュール弾けたままの朝を迎えて
共感をしてほしくない君が好きプレイリストが耳で震える
孤独にも愛されなかった窓際のカーネーションが送る相槌
精神的孤独を僕に選ばせて地獄を窓辺に置き去りにした
僕の愛それは可燃性君の愛非可燃性 それで良かった
あの角を曲がった先で待ってるよ乾いた夜に影を学ばせて
雨が降る 先天性傷はつかない知らないままの幸せでいい
くびすじに印をつけるまた君が鳥になっても射られぬように
潔白である証明の瀬戸際を散らす花々約を束ねる
詩と書いて死と読んだ日のスコッチが覚めないように流すキリンジ
幾つものディスコ踊らせろディスコード記憶媒体揺らせ蜃気楼
寂しさを後ろで結わす背中からまたねを僕は探せなかった
手のひらをすり抜けていくTシャツの隙間を通る風のまばたき
魂の震える夜をもう何度過ごせば君に会えるでしょうか
両足の着かない海の危なさにとても似ている 君の瞳は
飽きられることを知っていた僕の指に残った海のかおりは
若菜摘むいとも器用な指先をまだ愛しいと騒ぐこころが
世に出した瞬間ぼくらはさらしもの差された指をひらけてみせるよ
泣かれても困ると君は言うけれど止め方すらも忘れてしまって
ささくれをめくる揺れている純白のワンピース夏が時間を奪う
ビードロのような瞳に触れたくて何でもない日に寄る高島屋
手のひらで踊った狂った舞っていた極彩色の蝶々がとんだ
もし君が犬でも猫でも僕はまた君を探して会いにいくから
恋をして好きを育てて守るへと変わりゆくものそれを愛という
ああ好きだ揺れる吐息も歯ぎしりもひらけっぱなしの口のかたちも
CR告白 1/319 100パーでスキスキRUSH!!!!!!
ねえ君のすべてがほしいよ指先の熱だけ準急列車乗れずに
横顔のエロさが火花燃えていた誰が見たって燃えすぎていた
忘れてもいいよと手紙に書いたのは祈りが呪いに変わらぬ為の
出れなかった電話の履歴を見返して都度心から葉が落ちていく
もう君になれない空を飛べぬ鳥敷いたシーツに増やすしろいろ
身長も、素顔も、声も学歴も知らない人の手紙 無知を知る
境界線を鮮明に引くもう誰も傷つけたくない LOOPを飛ばす
ライフルにLIFEがあるのはその命奪うのではなく守る為だよ
「楽そうでいいね」魂の海底で静かにうねるプレート抑えて
きらめいて見せるSNS晩年の際Nの字の変え方を知る
孤独から愛し愛された人の背を追う暗がりで星座をつくる
煙草吸う姿が見たい? ダメですよ、いつもよりかっこつけちゃうからさ
遠くから終わりが迫りゆく春を出向かうことのできる人です
この体から溢れ出すリリシズム失いながら生きていくしか
分かってるフリをするなよ。分かってるような言い方で上司は言った
3秒で分からせてほしい 傷だらけこの世で生きることの強さを
大切なひとたちの気持ち隅に置き己の使命へ挑む痛みを
落ちかけて一筆書きの軌跡追う百万遍の交差点にて
ああ、またか誰かが離れていく音の金属音に似た共鳴が
本当の意味で癒えない傷跡を来世で忘れるなんて言うなよ
冷徹に薫る言動 冬、月の舵取り信じたイデア透かせて
なめらかに話したかった青い鳥僕は大人になってしまって