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「天使が燃えていく?」#第一回サイゼ文学賞(非公式)


「天使が燃えていく」


「天使が消えていく」は夏樹静子だったかしら⋯
窓際の席に座り、ドリンクバーで淹れてきた珈琲を飲みながら、ふと天使の絵を見上げて思った。
サイゼリヤに飾られている絵は聖母マリアの「受胎告知」が多いらしいけど、この絵はなんて言う題名だろう。
そんなことを思っているうちにオーダーしたタラコソースシシリー風のパスタが届いた。イタリアのシチリア地方なんて行ったことがないから、味があっているのかは分からない。本当は海苔や大葉がのった和風パスタがいいんだけど、今日の私は初一人サイゼリヤだもん。イタリアの風を満喫しなくちゃね。
ん?イタリアにタラコソースパスタなんてあるの?
ま、いいか(笑)
普段よりも少なめにくるくるとフォークでパスタを巻いて、上品そうに口に運ぶ。
うん!シシリー風もイケるかも。
でも、ここでサイゼリヤ初心者だって見破られるのは嫌だから平静を装っておく。
奥の席に座っているサングラスを掛けた男の人、きっと今にベルトから発火して炎上するんだわ。
あ、これは今読んでいる乃南アサの「凍える牙」か。あの人が炎上したら、この天使の絵も燃えちゃうわよね。

天使が燃える?

そう言えば、2024年8月にお客様同士のトラブルでサイゼリヤ1号店って全焼しちゃったのよね。
それから10月にはランサムウェア攻撃にあってシステムトラブルで炎上したのよ。

ふっ、まさか、私が初めて一人で来店した日に燃えるわけないじゃない。それにしても、このパスタ美味しいな⋯ミラノ風ドリアも頼んじゃ⋯
ドーーン!!
大きな音がして、さっき妄想したサングラスの男から火が上った。
えっ?!ウソでしょ?
本当に発火した?!ふらふらと助けを求めて此方へ歩いてくるじゃない。
い、いやーー!!
やめて!此方に来ないで、私まだタラコソースシシリー風パスタ食べ終わってないんだから。何故、もっと大口開けて食べなかったのかしら。私のバカバカバカ。

「た、たすけて⋯」

私のテーブル席のすぐ側で火の粉を飛び散らしながら、男はパタリと崩れ落ちた。キャー、キャー、店内は出入口を求めて逃げ惑う客で大騒ぎになっている。喧騒の中を必死に非常口に誘導する従業員の姿が健気だ。あ、そんな事考えてちゃダメじゃない。
私も逃げなきゃ!!
ところが、いざ立とうとすると腰が抜けて立てない。

「私、此処で死んじゃうの?まだ人気のグラスワインもお勧めされたミラノ風ドリアも食べてないのに?」

其処へ

ヒラリ・クルリ・プルン・ボスン


「私が来たからには、もう大丈夫」
ずんぐりむっくりした人がヒラリと降り立った。あ、この方は、あの有名な骨皮筋衛門さんじゃない!!⏬️


彼は私を抱き抱えると出口へ向かって走り出した。安全な場所へ降ろしてくれると再び燃え盛る炎の中へ救助活動か消化活動のためなのだろうか。取って返して行った。

「カッコいい!!ありがとう!骨皮筋衛門!!」

次にサイゼリヤに来る時は命の恩人、骨皮筋衛門さんにワインとミラノ風ドリアとエスカルゴと⋯とにかく、いっぱい奢っちゃおう!と心に誓った。







そこで目が覚めた。
ヘタレの私の一人サイゼリヤへの道は、まだ遠いらしい。



この物語は決してサイゼリヤが炎上するとかと言うものではありません。私のヘタレ具合を書いたものですm(__)m

SpecialGuest ほそやmさんの骨皮筋衛門さん

ありがとうございます♡

はそやmさんの骨皮筋衛門シリーズはこちら⏬️


福島太郎さん、誹謗中傷になっちゃうかな〜?
ぎりぎりセーフかな〜?ドキドキですが、
よろしくお願いしますm(__)m


夜の部の仕事!!
じゃぬーん♪


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