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「日記」最高のエンターティナー矢沢永吉

雨の降る浜松駅周辺を見下ろしながら、早いランチを食べていた。遠くにアクトシティも雨に煙っている。
親友のミユとの二人きりの旅行は一年ぶりだ。
去年は二泊三日で岐阜県白川郷、飛騨高山、名古屋を観光した。今年はちょっと小規模な旅だけど、それ以上に充実した2時間を堪能させてもらった。


「矢沢永吉」浜松アリーナコンサートへ行く事になったのは、ほんの偶然からだった。
確か9月頃だったと思う。矢沢ファンのお客様達がが私達の店で、スマホでチケットの抽選に応募していた。
開催地は東京や横浜が主だが「浜松」なら当たり易いという情報を誰かが流した。私は横浜が大好きなので「横浜」なら行きたいと思っていた。
実はミユも私も「矢沢ファン」ではなかったからだ。今回の旅行もコンサートが終わった後の浜松夜の街観光に力を入れていた(矢沢永吉ファンの皆さん、申し訳ありません)

「あ、当たっちゃった!」
お客様とスマホをいじっていたミユが大声を上げた。
「何処?場所は何処なの?」
尋ねた私に
「浜松…」
と力なく答えるミユ。
「sanngoちゃん、もちろん一緒に行ってくれるよね?」

その一言で、今年の旅行は「浜松」に決定したのだ。二人共、正直言ってあまり乗り気ではなかった。
でもお客様の手前、行かないわけには行かないムードになっていた(苦笑)


コンサート当日は会場に着く前から、浜松駅周辺には沢山の白いスーツの「矢沢永吉もどき」が居た。
実のところ、これが好きではないのだ。
男の人は「矢沢永吉」になりたがる。ファン心理というのだろうか?長渕剛ファンも然り。
憧れを抱いた人へ少しでも自分を近付けたいのだろう。
でも、それは決して矢沢永吉本人にとってプラスには働かない。彼のイメージを壊すものでしかない。
自己満足は家で一人、そっとやって満足してもらいたい。昨日も街は「矢沢もどき」で溢れていた。
私とミユは、ますます絶望した。だから嫌なんだよ矢沢ファン。

会場入りは4時。
浜松アリーナは沢山のファンが今か今かと入場を待っていた。
友人から「矢沢ファンは危ないから気をつけて」と変な先入観を植え付けられていた私達は、軽装でバッグも斜め掛けし財布に大金も入れずにドキドキとその時を待っていた。
席に着いても何十人もの白いスーツの「矢沢もどき」が、立ち上がり応援エールの送り合いをするのだ。もちろん、その雰囲気が好きな人も多数居るとは思う。でも私は「本物」が見たかった。
先にミニ矢沢で、飽き飽きしたくはなかったのだ。

そんな先入観を一気にぶち壊してくれたのが、矢沢永吉本人の登場だった。
舞台の両サイドに高くぶち上がる炎6個に負けないオーラで、彼は登場した。白いシャツに黒のサテンのジャケット。
今までの嫌な空気が、私の中で一転した。

「かっこいい!」


それしか言葉が出無かった。
とにかく本物の矢沢永吉は「かっこいい」のだ。何者をも寄せ付けない圧倒的な存在感と美しい肢体、
シャウトする声、若者のような機敏な動き。
幾重にも走るレザー光線の中で、それよりも光る彼。ほとばしる汗を無視して、白いマイクを操り歌い上げるロッケンロールの神様 矢沢永吉。
さっきまでの自分を私は猛烈に反省した。
何もかもが許せた。
ファンの男達が皆「矢沢永吉」になりたいのが頷けた。
歌と歌の合間のトークでは、矢沢永吉の人柄の良さが滲み出ていた。彼は全く意識していないだろうが、矢沢永吉という人は「歌」しか考えていないと私は思った。良い歌を造り歌って、人の心に届けたい、それしか考えていないのだ。

「メロディだけが良くてもダメ、詞が良くてもダメ。メロディと詞が両方良くても、いざ歌ってみるとダメな曲もある」
51年間を歌に捧げて来ても、彼の情熱はまだまだ衰えることを知らない。

「海の向こうでは、もっとハッてる奴が居る」

矢沢語を訳すと(笑)
「海外では、もっと高齢でもロッケンロールをやってる奴が沢山居る。だから俺はまだまだ歌い続ける」
というような意味だろう。
矢沢永吉 最高なエンターテイメントをありがとうm(__)m
そして矢沢永吉を真似している白いスーツの男達よ、貴方達の気持ちがやっと分かったよ。
男が男に惚れたんだね。


      あっちにもこっちにも「矢沢」


次回は温かい目で一緒にエールを送る私が居ると思う。
とにかく本当のスターを見せつけられた日だった。


それにしてもファンの高齢化が目立つ(苦笑)
杖の人、車椅子の人、盲目の人…
それでも皆、矢沢永吉というスターを観たい。




また必ず逢おう、日本が生んだロックの神様 矢沢永吉!




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