算命学余話 #G90 「月の裏側の模様」/バックナンバー
『算命学余話』は、算命学にまつわる筆者の体験に基づく小話や私見、鑑定経験から得た小知識や考察を心の赴くままに書き連ねた読み物ですが、鑑定技術を基礎から学びたい人のために「基礎編」も並行して差し挟み、更に進んだ「中級編」も執筆中です。「基礎編」を全部読めば運勢鑑定のための土台は初心者でも築けますし、それだけで満足できない学習者には「中級編」を読んで理解を深めてもらう。そういう目論見で執筆を続けてきました。
ところが思惑は往々にして外れるもので、余話の読者が「算命学余話に書かれている情報が算命学の全てだ」と勘違いする現象がしばしば起こっています。随分前にも一度あって、こうした勘違いや誤解、曲解を避けるために執筆を辞めた方が良いのではないかと悩んだ時期もありました。その後、数年間そういった反応は影を潜めていたので気に掛けずにおりましたが、最近になってまた持ち上がってきました。
繰り返しますが、『算命学余話』に掲載した技法は、算命学の技法のほんの一部です。そもそも「中級編」が途中ですし、その他の余話に散りばめた個別の技法を合わせても、全体の技法からすればその一割にも満たない。いや、1%にも届きません。家系論と宇宙論が基礎となっている算命学の鑑定技術は、それほど膨大なのです。
それをちっぽけな人間ひとりに当てはめて鑑定するのですから、使用する技法はおのずと限られてきます。家系に連なる過去や未来を考慮せずただ「今だけ」を知りたい人間の狭い欲求に応えるには、単純に省略した技法を使えば足りるという事情もあります。しかしそうして使われる技法は氷山の一角なのであり、海面下ではその何十倍もの情報が広がり、氷山を支えている。学習者の皆さんには、『算命学余話』をこの氷山のように眺めて頂きたいのです。
かように僅かな情報を「これが全てだ」と勘違いし鵜呑みにすることは、算命学の力を借りて運勢を向上させるどころか、運勢を引き下げる可能性を高めるものであることを、もっと危機感をもって心に刻んでほしいのです。筆者は、読者の運勢を下げる目的で余話を執筆しているのではないのですから、正しく使ってほしいし、そのためには正しく認識して頂きたい。
『余話』の記事数が300回を超えているので、「もうそろそろ技法は全部出た頃だろう」との勘違いを呼ぶのもやむなしですが、そんなことは全然ありません。最近執筆が停滞気味なのは、中級以上の技法の説明が難しくて文章に著しにくいからであり、書くことがなくなったからではないのです。筆者も極力誤解の生じないよう、文章には気を使います。それでも誤解は生じています。
参考までに、連載の止まっている「中級編」の最新回である『算命学余話#G60玄』をご覧下さい。ややこしくてウンザリした方も多いのではないでしょうか(この種の話題を続けるべきかどうか決めかねて執筆が止まっているのです)。鑑定師はこうした細かな情報も頭に思い描きながら鑑定しています。これが「海面下の氷塊」なのであって、依頼人に伝える言葉や余話の記事は「氷山の一角」に過ぎません。くれぐれもお忘れなきよう。
今回の余話は、こうしたごく一部の判りやすい技法に飛びつくあまり、別の可能性があることに気付かず誤解したまま、間違った、或いは正確でない鑑定に流れてしまう危険性について考えてみます。
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