算命学余話 #G31 「天報星中殺を考える」/バックナンバー
以前、副題「天将星を基礎から考える」の記事で、「家長である天将星が集団のトップに座れないと、宿命消化が進まずどえらい迷惑を周囲に振り撒くことになる」といった内容を書きました。そして、これを読んだ読者や相談者からは「正にその通りだ」という悲鳴のような感想が寄せられました。皆さん、随分な迷惑を被っておられるようですね。
しかし一方で、天将星が宿命にあってトップになっていないにも拘らず、迷惑も掛けずに活躍しているという例も聞きます。それはもしかしたら、天将星が天中殺を受けているせいかもしれません。天中殺を受けた天将星なら、集団のトップではなく幹部クラスの位置で大いに活躍できます。逆にトップに座ると実力が発揮できません。まるで天禄星のようです。かと言って天禄星に姿を変えたわけではありません。天将星は天中殺を受けていようといまいと、天将星であることに変わりはないのです。ただ、天中殺によって本来の姿が歪んで出て来るというだけです。そしてその歪み具合にはある程度の法則性があります。
今回の余話は、十二大従星天中殺の理屈と、初回として天報星中殺について取り上げます。「十二大従星を基礎から考える」シリーズを読んでいま一つ納得できなかった方は、是非ご購読下さい。十大主星と同様、十二大従星も中殺を受けているのといないのとでは随分様相が違います。と言っても全く別物というわけではなく、根本的には同じです。では何が同じで何が違ってくるのか。まずはその法則性に着目してみます。
十二大従星というのは、その星を出す過程として、十干から十二支を通します。そして十干は空間を、十二支は時間を表しています。このことから、十二大従星天中殺というのは、空間ではなく時間が中殺を受けているという認識になります。しかしながら、地球が太陽を周回する我々の世界では、時間が止まることはなく、長さも進行速度も一定です。時間はぐにゃぐにゃ蛇行したり、伸びたり縮んだりするものではありません。従って、十二大従星天中殺は時間そのものを変質させるものではなく、人が時間を長く感じたり短く感じたりする現象を起こすものなのです。それはまた、十二大従星の性質やそれが引き起こす現象が、中殺によって変質するということでもあります。
人間は、何か楽しいことに夢中になっていると時間が経つのも忘れて、気が付けばあっという間に朝になっていたります。逆に苦痛を強いられていると、その苦痛の時間を実際よりも長く感じます。つまり時間を感じる感覚が状況や心境によって変化することを、我々は体験として知っているわけです。もちろん時間が伸び縮みしたわけでないことも判っています。判っているのに、伸び縮みを感じている。この感覚が十二大従星天中殺の根底にあるのです。時間に関わる違和感と言ってもいいでしょう。
こうした違和感は、たとえ宿命に天中殺を持っていなくとも後天運で必ず回ってきます。年運なら12年毎に二年連続で必ず遭遇しますし、大運なら120年毎に20年連続で必ず巡ってきます。尤も120年生きる人は稀ですから、生涯一度も大運天中殺に当たらない人も珍しくはありません。それでも平均寿命周辺を生きていれば、年運天中殺を除けて通ることはできません。
そして、その人の天中殺は十二支のうちの二種類と決まっていますから、その人が遭遇する十二大従星天中殺もまた、常に同じ二種類だということになります。その二種類を把握しておけば、自分にとって時間がどのように伸び縮みし、十二大従星中殺が引き起こす現象がどのような形となって現れてくるのかを感得できます。
それでは、ここからは十二大従星の筆頭、天報星が中殺された場合の現象について考えてみましょう。
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