おかえり〜甲子園の土を集められるという世界線〜
日本の風物詩、甲子園が開幕した。幼い頃は、見たいテレビ番組を妨害するお兄さんたちの姿に恨めしさしかなかったというのに。自分が同年代になるとあの青春の闘いが眩しく見えるようになって10数年。今ではすっかり、推しの選手がいるくらいに夏も春もはまり込んでいる。
ちなみに、わたしの推しは仙台育英高校の齋藤陽くん。彼の良いところはまず、どんな打席にも笑顔で立つところ。調子の良いときはもちろん、チームのピンチのときだっていつも笑顔。もう「野球が好き!」というのが身体全体から伝わってくる。昨年も2年生で活躍して優勝メンバー入りしていたので、実力ももちろんあって。彼が打席に立てばヒットが出るし、バントは成功する。出塁すれば嬉しそうに本塁へ走って帰ってくるし、守備だってよく守る。
今日の試合は、浦和学院に9対19で勝利した。とっても嬉しい。でももっと嬉しかったのは、先発メンバー全員が安打を出したこと。このチームは一人の主役を立てるチームではない。全員の底力が強い、チームでの野球ができる人たちだというところ。すっごくかっこいいなぁと思っている。
仙台育英は、生まれ育った街仙台の高校だから……というのがきっかけで見始めたけれども。チームとしての野球をする姿勢に惚れなおし、ちゃっかり推しの選手までできて彼が活躍するたびに飛びはねちゃうくらいにはまり込んでいる。アラサーにしてやっと、推しのいる生活というのが分かり始めたような気がする。最高。
さて。甲子園では、負けたチームが甲子園の土を持ち帰るという慣例がある。土なんか持って帰ってどうするんだ、なんて言っては元も子もない。イベントというのは、慣例を含めてイベントなのだから。画面越しに観戦するわたしたちでさえ、甲子園の土を集める姿というものには感慨深さを感じるわけであって。マウンドに立った彼らにとっては、あの行為も含めて幼い頃からの憧れに違いない。その憧れの慣例が、今大会から復活した。
3年前。流行病の影響で大会自体が中止になったあの夏。わたしたちは、旅どころか仕事にも友達とのご飯にも行けない、先行きの見えない不安な夏を過ごした。白昼堂々と好きな人たちと好きなタイミングで集い笑い合える日は本当に戻ってくるのだろうか、いやもうそんな世界は来ないのかもしれないと、どこかで思っていたから。
仕事に行けるようになり、県境を跨げるようになり、少しずつマスクを外して生活できるようになり、甲子園も復活した。そして今年は、声出し応援だって、慣例の土集めだって、全部全部セットで戻ってきた。本当に、この世界線は戻ってきてくれたんだなぁ。嬉しいなぁ。
初戦で敗退した彼らも、悔しそうな表情を浮かべつつ、でもどこか嬉しそうに両手を広げて土を集めていて。なんて平和な世界なんだろうと、ちょっぴり泣きそうになった。そんな日曜日。
仙台育英の2戦目は、次の土曜日。また休日なので、しっかり見れそう。今年は何故か初戦で秋田と青森が、二回戦で宮城と福島がたたかう流れ。東北勢としては「白川の関を越えてくれればどの県が優勝してもオレらのもの!」みたいな感覚なので、早々に東北対決が行われてしまうのはなんだか悔しい。運だからしょうがないけれども。
とにもかくにも、わたしは二戦目も推しの活躍を見られることが今から楽しみで仕方がないです。
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