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目で生きるパラレルワールド、盛岡に出現。
盛岡にきたら冷麺!ぴょんぴょん舎!と意気込んでホテルを出てきたものの、駅側から繁華街へどう渡って良いかわからない。google mapを片手に立ち尽くしていると、タリーズから出てくる女性と目が合う。次の瞬間、彼女が大きくわたしに手を振る。
ん?
目を凝らす。そして、こする。もう一度見る。
ん?
どうしよう。。。わかんない。
道が分からない上に知らない人から手を振られる。もう、途方に暮れていたその時、彼女の手が流れるように動いた。
「さっきの研修、一緒だったよね?」
あぁ。聾者だ。わかるわかる。お互い研修が終わって私服に着替えていたから分かんなかったんだ。
一気に現実に戻されて、彼女の元へ駆け寄る。
ひとしきり手話べり(手話+お喋り=手話でのお喋り)を楽しんで別れる。
彼女の情報によると、ぴょんぴょん舎へはどうやら地下道を通っていくのが早いようだ。今度こそぴょんぴょん舎へ向けて歩き出すと、前から表情豊かに手を動かす集団がやってくる。
(そういえば、さっきの研修にいた人たちだ)なんて思いながらすれ違う。
やっとぴょんぴょん舎に到着する。メニューがあるため、指差しで注文。
これこれこれ。東北生まれお馴染みのぴょんぴょん舎の冷麺。いろんな味を楽しむために別辛がお決まりのパターン。
冷麺を食べた後は、ちょっくら駅前散歩。
なかなか趣のある地下道に惚れて、カメラをパシャパシャしてみる。
夜も更けてきたし、そろそろ帰ろうかとメトロポリタン側へつながる信号を歩いていると、向かいから手を動かす集団に出くわす。そのまま、一次会を終えてきた集団の二次会に参加させていただく。手話べりが弾み、気付いたら日付が超えていた。明日もあるからといそいそとホテルに戻る。
あ。わたし、ホテルを出てからほとんど声を出していない。
手話べりに手話べりを重ね、気付いたら声を使わずに7時間近く盛岡の駅前をうろうろしていた。あんなに喋ったのに。
普段は音の世界で生きている私たちが、年に1回、地方都市に集う。
歩く場所が限られることもあり、次から次へと目で生きる人たちとすれ違う。
普段は音のある世界がマジョリティだけれども、目で生きる人がマジョリティなんじゃないかと錯覚する。まるで、パラレルワールド。
ここで手話べり尽くして、また、音の世界に戻っていくのだ。
#エッセイ #生活 #旅しゃぶ更新部 #旅する日本語 #東北 #岩手 #盛岡 #手話 #聴覚障害 #音の世界と音のない世界の狭間で
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