美しさの裏に皮肉を含む街。カスコビエホ。
占領下にできた街並みが観光資源になっちゃうって、なんだか皮肉だよね。
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街中に出ればCHANELやGUCCI。
でも、一歩路地に入ると下町のような景色が広がるパナマシティ。カスコビエホ(casco viejo)はその一角にある。
カスコビエホは古い街といった意味をもつ。俗にいうオールドタウンだ。
古くからある教会やアンティークな建物が街を構成しており、お洒落なカフェやお土産屋さんが並ぶ観光地。
パナマがスペインの占領下だった頃にできた街で、今でも政府の重要機関はここにある。
観光地といえども人が暮らす街でもある。さらに小さな路地に入ると洗濯物が干されていたり頭上から水が捨てられてくる。
観光しながらも生活を感じられる素敵な街。カスコビエホ。
観光地ということもあり、多くの観光客で賑わっていた。
一際目を引いたのが、ヨーロッパ系の観光ツアー。別日に行ったカリブ海ツアーでもとにかくヨーロッパ系の観光客がたくさん。
でもそこで、ふと思った。
この綺麗な街並みを作ったのはスペイン人。ということは、この風景に似たものを彼らは母国でも見られるんじゃないだろうか。
はて。
なんでわざわざパナマに来てまでヨーロッパ風の街並みを楽しそうに歩いているんだろう。
。。。。
そんなことを考えながら綺麗な街並みを歩いていた。そのときふと思い出したのだ。
あれ。
わたしたち日本人の国内旅行の人気スポットって日本の古都である奈良や京都じゃなかったっけ。
日本に住んでいるのに、わざわざ日本の原風景を眺めに観光に行くよなぁ。。。
もしこれと似た風景を海外で見られるといわれたら、ちょっと嬉しくなっちゃうよね。親近感が湧くというか、安心感というか、懐かしみというか。よくわからない感情がぐわっと込み上げてくると思う。
あぁ。行くだろうな。
首都にCHANELやGUCCIがあっても、ちょっとバスに乗れば停電断水が当たり前の村々が広がる発展途上国パナマ。
パナマ運河で先進国からの通過料に頼った財政状況のパナマ。
観光だって、占領下にできた街並みをウリの一つとするパナマ。
街を少し歩く。
「助け合い」なんて軽い言葉では言い表せない歴史を感じる。
カスコビエホの綺麗な街並みにうっとりしつつ、なんとも言えない苦々しさを感じた。
この苦々しさは、日本にいて味わえるものだろうか。
知識として得ることもできるかもしれないけれど、ここまでしみじみと実感するきっかけに出会えるかと言われると、口をつぐむ。
旅に出て、その街を歩き、考え事をする。
きっとこれが、旅の醍醐味のひとつなのかもしれない。
わたしはまた、ぼーっとしつつも頭をぐるんぐるんさせるきっかけを求めて生きていく。旅に出る。