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新しい時代も、あの絵巻物の世界を「美しい」と思える感性を、もち続けられますように。
雛人形のお内裏様とお雛様は、永遠の憧れだ。色鮮やかな十二単に、煌びやかなお祝いの品の数々。歴史の資料集や博物館の絵巻物を見るたびに、綺麗な着物に心が奪われる。
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お昼は、カレーを食べたい気分だった。しかも、本格的なスパイスが入ったカレー。
店員さんは2人。ネパール人2人で経営する町の小さなカレー屋さん。店に入ると、ホール担当の彼が熱心にテレビを見ている。
「前の王様?今の王様?」
そう言われてテレビを見ると、ちょうど即位礼正殿の儀が始まるところだった。
王様じゃないだよなぁ。えっと、Kingじゃなくて……emperor。
「He is Emperor Reiwa.」
そう答え、テレビに目を向けると、まるで絵巻物のような光景がうつっていた。
黄色がかった茶色の装束「黄櫨染御袍」を身につけて高さ6.5メートルの「高御座」に座った天皇。そして、十二単姿で「御帳台」に座った皇后。
あの、絵巻物の世界は現実だったのか。国名を変えず、2000年以上emperorをもち続ける日本の文化がそこにあった。
emperorは、総理大臣よりも大統領、国王よりも格式高いと聞く。そのemperorが世界で権力を得ることよりも、国民に寄り添い、世界の平和を願っている。
小学校の社会科で「平和主義」なんて言われても「そんなの当然でしょ」と思い続けてきた。わたしの周りは、戦争はテレビの中の世界だ、と思わせるくらい平和なんだもの。
新しい時代も、あの絵巻物の世界を「美しい」と思える感性をもち続けられますように。そう願わずには、いられない。
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