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音の世界と音のない世界の狭間で

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聴覚障害のこと。わたしのきこえのことを、つらつらと。
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2020年5月の記事一覧

わたしは、わたしたちは、「かけはし」を必要としていて〜玉城デニー沖縄県知事の会見動画から〜

誰かが話を始めると、何事もなかったかのようにまた誰かがその隣で手を動かし始める。わたしはその話者と手話通訳を視界の同じ画角に入れながら話しを理解していく。 手話を習得してから早9年目。それが長いのか短いのかは分からないけれど、日本語と手話を使いながらの生活が続いている。 この世界の大多数の人たちは「音の世界」の住人だから、「音声」を「手話」に通訳してもらうことが、習得前と比べて格段に増えた。 学生時代は学務課を通して、仕事を始めてからは事務を通じて。個人で派遣を依頼する

あの日あの時。わたしの音だけがホール中に鳴り響いて、時が止まった。

SpotifyのBGMプレイリストから、『魔女の宅急便メドレー』が流れてきた。心地よいリズムに、つい音階を口ずさむ。相変わらずわたしは「歌えない曲は、演奏できないんだよ」の教えをわりと信じている。 大学時代。地方の国立大学にある、小さな小さな吹奏楽部に入っていた。楽器は、母から譲り受けたクラリネット。毎年冬に開催されるコンサートで、そのクラリネットパートは暗黙の了解のように毎年ジブリメドレーを演奏していた。 わたしが初めて参加したその年、パートリーダーの先輩が持ってきたそ