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そばの湯気に残す

大晦日、完全に二日酔いで夜に起きてしまった


アルコールの残り香に少し吐き気が込み上げる


もう2時間しかない今年をどう過ごそうか


なんとなくこのまま寝て過ごすのはどうかと。


そんな思いでそばのお湯を沸かしながら
頭の中で今年を旅する

振り返りみたいなもん



そういえば今年の始まりもなんかヌルッと始まった気がした


今年は、今年こそは、と意気込むが
例に漏れず毎年、正月の空気に一瞬にして飲まれる


あーもー働くのかと、1月5日あたりの憂鬱は何年生きても強敵


今年も今年とてたくさんの思い出ができた



ぜんぶ明るい記憶かと言われると

手放しには頷けない


そういえばあの記憶も今年か、
あ、でもあれは去年か、

などなど

人の記憶の時系列って曖昧なもんだ


「今年はいい1年だった」って

8割は年末の過ごし方次第で決まってんだろうな



トイレに行きたいし、
部屋が散らかっていることを思い出したのだが、

寒すぎてこたつから動けずにいた


リビングのドアが開いて冷気がなだれ込んだ

あー、ここで動かないと一生動かない。


なんとか立ち上がりトイレを済ませて

部屋の片付けに向かう


直してなかった上着をクローゼットに戻し、

机の上に散らかったペンと書類を集めた


何かと捨てれないクセのおかげで

溜まってしまった空箱たちと目が合った

結局、年明けに捨てることになる


「あ。」

EIJI の空箱を見つけた

このTシャツの出会いはなかなかに大きいものだったかもしれない


夏には完全に先発ローテ入りを果たし

寒くなってからも家では完全にレギュラー


この木箱の感じもなんかほっこりしていいんだよな


採寸していただいた時や購入した時の

記憶を思い出していると

それに釣られてか

なんだか一気に今年の記憶が思い出された


会いたい人に会えなかったり

行きたいところに行けなかったり


何かと窮屈な1年だったかもしれない


それでも過ごした1年はしっかり積み重なっていくんだとホッとした



あ、やばいやばい

ほっこりしてたらカウントダウン始まりかけた



ここで今年いちばんの失敗をしてることに気づく

お湯を注いだそばを完全に忘れていた


来年するはずだった失敗を今年に残せたと思えば

伸びて冷めたそばにも湯気が出てるように見える


かもしれない。



-EIJI-


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