12月の朝
「うぅ。さっむ。」
寒すぎていつもより早く目が覚めた
足の指が自分の体とは思えないほど冷たい
布団を頭まで被り直して体を小さくする。
実は曜日間違えてて、土曜日でした。とか
ハッピーミス起こらないかなと、
考えながらiPhoneを見るとしっかり木曜日だった
かすってもなかった。
「オッケ。起きる起きる。」
そうひとりでつぶやいてから、
いっきに布団を脱いで起き上がる
いきなり立ち上がって伸びをすると頭がクラクラした
わかってたのにやってしまう。
たためてないけど
たたんだ気になりたいと布団をサクッとまとめる。
なんとか布団という強敵に打ち勝ちリビングへ向かう。
寒そうに、コンパクトにまとまった
愛犬の柴犬をワシャワシャっとしたけど
びくともしてくれない
ストーブをつけ、水を注いだコップを持ってひんやりと冷え切ったソファに座る。
今日、やらなきゃいけない仕事を
一通りイメージして、
ひとつため息を挟む。
窓の外は気持ちいいほどに晴れている。
なぜか冬は晴れた日の方が寒い気がする。
なにも音がしない冬の朝のリビングで
秒針を追いかけたり、
ソファの自分の体温で温まった部分と
ひんやりしている部分の境目で遊んでみたり、
なんの生産性もなければ
誰にも共感してもらえなさそうな
この時間が意外と嫌いじゃなかったりする。
寒さに耐えきれなくなって
着替えを始める
今日はワイシャツの下に着るTシャツが
いちばん気持ちいいTシャツの日だ。
誰にも気づかれない
自分だけの小さな幸せを拾って、
とっとと支度を済ませる。
玄関を出ると鼻の中がカチンと痛くなるぐらい今日は寒い
今日はいつもより少しだけ早く家を出たため
普段と景色が違っている
こんなに寒いのに畑仕事をしている
おばあちゃんとか、
まだ準備中でいい匂いが立ち込めているパン屋さんとか、
普段はすれ違わない、朝練に向かう高校球児とか。
みんな偉いなあ、と感心する。
みんなの忙しそうな姿をみて
また、1年の終わりを感じた。
じぶんも頑張らねばと、マフラーに鼻までうずめて少しだけ胸を張った。
駅までの道が、
まだ暗さというか、
白さというか、
冬の朝独特のフィルターがかかっていて
冬の匂いがした。
-EIJI-