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PR会社から学んだこと

肝心なことはなに?

兵庫県知事の斎藤元彦と知事選の広報を担ったとされるPR会社が注目を集めている。金銭の授受はあったとされるが、それはそうだろう、選挙違反にならない範囲のタスクだと弁明している。

同じ業界で働くものとして、あれだけの選挙期間で支払われる報酬額としては圧倒的に少ない。規模が小さいにしても単価が低すぎる。

PR会社の社長がボランティアで行っただけとされているが、大所帯ではないので一人欠けるだけでかなりの痛手だ。しわ寄せは社員に来るわけで、諸手を挙げて送り出したとは思えない。

あれだけ承認欲求が強い性格で無償のボランティアは考え難い。普段から仕事をやり取りをしている間柄ならば、百歩譲って手伝わないこともないが、パソコンの前で企画内容を説明している画像を見る限り、企画書制作にもコストと時間はかかっている。無償でやるにはコスパが悪い。

同業の立場から考えると、限りなく黒に近いと思っている。

どんな手を使ってでも当選させるのが役割だったので、目的に忠実だったといえばそれまでだが、果たしてなりふり構わずにSNS戦略を実行したことは良かったのだろうか。兵庫県のトップを選ぶ以上、最終的には県民の満足度を上げることが求められるのではないだろうか。

ボクもYouTubeで配信する動画を作成した。動画内容は万人受けするものではないだけに、予想以上に再生回数を稼いでいることで高揚感を覚えたのは事実だ。配信後はこまめに再生回数をチェックしていた。

クライアントの思いに応えたい。想定回数は上回りたい。ついつい数字にばかり目を奪われていた。しかし、今回の兵庫県知事選の結果と疑惑を目にした途端、自分は何を目的に動画を制作したのか原点に立ち返ってみた。

事業啓発を通して、ターゲットが豊かになること。確かなゴールは一瞬、再生回数というわかりやすい、目に入るものによって見えなくなっていた。YouTubeで動画が回ることではなく、ターゲットのアクションを促すことが重要だったのだ。再生回数が100でもターゲットに届き、行動を促せていれば事業は成功。再生回数が予想以上の伸びて1万を超えたとしても、ターゲットに響かなければ意味がない。

知事に復帰させたことでPR会社は目的を果たせたが、ターゲットの心を本当の意味で動かせたのかは疑問が残る。「生まれてきてくれてありがとう」など印象操作は、やり方としては受け入れがたい。黒いものを白く見せる。手段を選ばずに得られたものに充実感はあるのだろうか。

数字は説得しやすい。曖昧な「効果的」だったという言葉よりも説得力がある。でも、数字に囚われてしまうと、肝心なものを見失う。パートナーにSNSを活用する際に、いつも説明しているこちらが繰り返し説明している、エンゲージメントの大切さを失念した。

オールドメディアよりもSNSは数字が出るのでわかりやすい。検証もしやすい。だからこそ気を付けなければならないと改めて思った。

昨日のBSNラジオ「遠藤麻理の四畳半スタジオ」内の名物コーナー、「おちつけ日本Returns」を視聴していなければ、変わらず数字を追いかけていただろう。オールドメディア対SNSという構図は作りたくないが、オールドメディアも大切だよ。

おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!

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