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旅❸

非日常への入口

チェックイン後、エレベーターに乗った時点で既に昂揚している。あるか、ないか。あって欲しいと心から願う。

そう、温泉まんじゅうである。お宿の部屋のテーブルの上に鎮座していると、この上なくうれしい。

もちろん、用意しておけ、なんて思わない。毎日、購入していたら大変な額になるだろう。でも、あったら和菓子党としてはうれしい。

先日のお宿には、温泉まんじゅうがいらっしゃった。どこからどう見ても温泉まんじゅう。着いてすぐにお湯を沸かし、緑茶でいただく。至福。この上ない至福。満たされていくのが分かる。

そして、気が付いた。温泉まんじゅうとは、非日常への入口だと。

おいしいものは先に食べるタイプなので、入浴後なんて考えられない。そう考えると、温泉まんじゅうを口にした瞬間、日常から離脱できる。

今まで意識していなかったが、あの茶色くてまあるく甘いものが誘ってくれていたのだ。味はもちろん、スイッチになってくれていたことに感謝したい。

当たり前だけど、もうひとつ気が付いたことがある。それは温泉街の和菓子屋さんと旅館は互助の関係にあること。

お部屋の温泉まんじゅう、お土産の和菓子、夕食にも近所の和菓子屋さんの和菓子が出てくることがある。うれしい。

今回の旅では水羊羹だった。羊羹が喉を通過した後に感じた甘みは初体験だった。水羊羹なので普通の羊羹よりも口解けが良く、それでいてしっかり存在感がある。程よい硬さが心地よく、チェックアウト後に販売しているお店に寄ってしまった。

お店のWEBサイトに、こんなことが書かれていた。一昔前は夜になると旅館から甘味を求める客からの要望で電話がかかってきたそうな。なんか、いい。いや、すごくいい。

旅館や和菓子さんにとっては迷惑かもしれないけど、ある意味では究極のっ贅沢のようにも思える。お酒でも、芸妓さんでもなく、和菓子。いい。

余暇は日常に余裕があるからこそ手に入る。今は容易ではない。ボクたちに余裕がなければ温泉宿も、温泉街も、和菓子屋さんも廃れてしまう。

和菓子のない人生なんて考えられない。非日常は味を2割増しにしてくれる。つまり、お土産の温泉まんじゅうより、お宿での温泉まんじゅうの方が美味いのだ。

そんな至福の時間が失われないように。景気回復を待つのではなく、景気を回復させられるように選挙にまずは行こうという流れになってしまったが、余暇を得るには余裕が必要だと考えれば一概に遠い話ではないように思う。

大切なものを守るために、今年も政治について学びたいと思った旅だった。

おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!

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