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ハザードパトロール隊
「ピピーッ。発見。
ハザードランプがつけっぱなしです。」
スーパーの駐車場。中には誰もいないのに、チッカンチッカンと黄色いランプが点滅している。ランプの灯りが反射して辺りを黄色と黒に染めている。
黄色と黒は危険を知らせる色。このままだとこの車はバッテリーが上がって動かなくなる。途端に私の体はザワザワと不安な妄想にかられてしまう。
たくさんの荷物を抱えた女性。両手にビニール袋をふたつ、さらに赤ちゃんを抱っこしている。チャイルドシートに赤ちゃんを乗せ、荷物を後部座席に積み込む。ようやく運転席についてエンジンを……かからない。なぜ?おかしい。何度やってもかからない。途端に頭が真っ白に。えっどうしよう?困った女性は家族に電話をかけるが誰も出ない。故障?とりあえずJAFに電話をしてみる。電話の途中で赤ちゃんがぐずり出し、なんとか大声で状況を説明すると1時間後に向かうとのこと──。赤ちゃんはお腹がすいて泣いている。買ってきた冷凍食品が溶け出した。
ああぁぁあ赤ちゃんが!!泣いている!!(妄想)
私は車のナンバーをメモし、すぐにインフォメーションセンターに行って「この車ハザードランプがつけっぱなしですよ」と伝える。
しばらくするとピンポンパンポーン
🎵お車のお呼び出しを致します……
と放送が入る。
ホッとした私はその店を去る。
これを人生で何回も経験している。
スーパーならまだいい。コインパーキングは最悪だ。持ち主がどこにいるか分からない。いつ帰ってくるかもわからない。
昨日はたまたまその隣にある美容室に声をかけたら、そこのお客さんの車だった。あまりにも幸運だった。──私が。
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ある時、片側3車線の大きな道路の真ん中を運転していた。推しの映画初日、第一回目の上映にルンルンと向かっているところだった。
と、左斜め前の歩道でおじいさんが卒倒した。
見間違いかと思い、サイドミラーを確認するとやはり倒れているっぽい。周りには人が2人ほどいて、おじいさんに気づいたようだった。
どうしよう、と迷った。今から左斜線に寄せて停めたところでだいぶ離れてしまったし。
私があのおじいさんの元に駆けつけるにはこの先の信号まで行ってUターンして中央分離帯を超え、反対車線をしばらく走ってからまたUターンして行けば辿り着ける。
でも、そこまでしてる間にきっと誰かが助けるんじゃないかな──?たぶん、誰かが助けてくれる。
おじいさん、ごめんなさい!と思ってその時はそのまま映画館に向かった。
結局、その日見た映画の内容を私はほとんど覚えていない。ずっとおじいさんのことが気になって気になって仕方がなかった。もちろん帰り道にその場所を注視したけれど、そこには平和な道が広がっていた。
もう何年も前のことなのに、いまだに引きずっている。こんなに引きずることならあの時戻ればよかったと後悔している。
話はハザードランプに戻る。
私はハザードランプつけっぱなしの車を放っておくことがどうしてもできない。それは誰かのため、とか、役に立ちたい、とかお礼が言われたいとかじゃない。
気づいたのにそのままにしておくと、自分がモヤモヤするだけだからだ。その後の色々を想像するとイヤー!!ってなる。
だから、お願い。
ハザードランプは忘れずに消して欲しい。とくにコインパーキングでは確実に。ハザードパトロール隊の私からのお願いだよ。
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虎吉さんの企画に参加します!
遊んでるわけじゃないんだけど、ふと、わたし何してるんだろう、とは思う。
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