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インド式イノベーション、ジュガールは確かに面白い。が!

ジュガールとは?🛠️

「ジュガール」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?ヒンディー語で、創意工夫や即席の解決策を指すこの言葉は、インドの日常生活に深く根付いています。ジュガールは、限られたリソースやあり合わせの素材を使って、瞬時に問題を解決するアプローチです。壊れた物を修理したり、足りない材料を代用して物を作り上げたり、時にはまったく新しいアイデアをひねり出して解決策を見つける力です。

インドの街を歩けば、ジュガール精神が息づいていることを目にするでしょう。それは、単にお金や時間を節約するためだけではなく、状況に応じて臨機応変に対応する力でもあります。こうしたジュガールの文化は、インドの生活やビジネスにおいて広く活用されており、イノベーションの源泉としても注目されています。

町中で見かけるジュガール🏙️

インドの街中では、ジュガールの実例を日常的に見つけることができます。その中でも特に面白かったものをいくつか紹介します。

まず、タオル1本で作る牽引車です。ある日、バイクに乗った運転手がタオルを使って小型トラックを牽引している光景を目撃しました。バイクの運転手は片手でタオルを持ち、もう一方でハンドルを操作し、見事に牽引車の役割を果たしていたのです。車両のトラブルをタオル1本で解決するこの発想は、ジュガール精神そのものです。

次に、子供用プールに防水時計を沈めて展示する時計屋。防水性能をアピールするために、時計を文章で説明するのではなく、実際にプールに沈めて「水中で動いている時計」を見せる方法をとっています。これによって、顧客は一目で時計の防水性能を理解できるのです。非常にシンプルかつ効果的な方法であり、ジュガール的な工夫の好例です。

さらに、ケータイ1台あれば営業できるケータイショップもあります。街の道路拡張工事のために、建物がむき出しの状態で内装も整っていない店舗で、店主は携帯電話1台だけで営業を行っていました。店舗の設備がない中でも、必要最低限のツールだけで仕事を続ける姿勢は、まさにジュガールの精神です。

このように、インドでは日常生活の中で当たり前のようにジュガールが見られ、その独創性や機敏さに驚かされることが多々あります。

ビジネス・イノベーションの文脈でも注目されるジュガール💡

ジュガールの精神は、日常生活だけでなくビジネスの世界でも重要視されています。特に現代のビジネス環境は、予測できない変化に迅速に対応する必要があるため、従来の計画やプロセスに固執するよりも、ジュガールのような柔軟で即座に適応する方法が求められています。

過去のビジネスモデルでは、長期的な計画を立て、それに基づいて一歩一歩積み上げることが一般的でした。しかし、現在は不確実性が高まり、どんな変化が起こるかわからない時代です。計画通りに進めても、途中で無駄になることも珍しくありません。そんな時に、ジュガール的な「とりあえず今あるもので始めてみる」という柔軟な発想が、ビジネスイノベーションの起点として注目されています。

実際、インドが経済的に急成長を遂げた背景には、ジュガールのようなアプローチが重要な役割を果たしていると言われています。例えば、限られたリソースで最大の成果を出すことが求められるスタートアップ企業や、急速に変化する市場に対応しなければならない大企業においても、ジュガールの精神が活かされています。

ジュガールはインドだけなのか?🌍

ジュガールのような即席の解決策は、インドだけに見られるものではありません。実は、日本にも似たような工夫の文化が存在しています。

例えば、日本の伝統的な履物である下駄の鼻緒が切れた際に、手ぬぐいで修理するというエピソードは、日本版ジュガールと言えるでしょう。こうしたシンプルな工夫によって問題を解決する姿勢は、世界中に共通して存在するものです。

私自身も、日本で日常的にジュガール的な工夫を見かけます。例えば、電車の中でビニール袋を帽子代わりに使って雨を凌ぐ人や、スマートフォンを洗濯バサミでパソコンに固定して作業している光景など、実は身の回りにジュガールはたくさんあります。インドだけでなく、私たちの身近な生活の中でも、必要に応じた創意工夫が日常的に行われているのです。

ジュガール的な発想はなにもインドに限られた物ではないのです。現代の日本は確かに少し物質主義に偏っていた時代があり、「それ専用」を求めてしまうところは多少あるかも知れません。

でも僕らの祖父母世代はジュガールを使っていたのでしょう。単なる輸入品としてジュガールを考えるというよりは、眠っているジュガールを呼び覚ますという文脈で捉えたらどうかなと思っています。

お知らせ📢

ここで1つお知らせです。来年1月に、ジュガールの精神をテーマにしたリトリートをインドで開催します。イノベーションに精通したコンサルタントの山口高弘さんと共に、インドのジュガールの達人の話も聞きつつ実際に新規事業をミニマムで一つ作ってしまうようなプログラムです。

また、10月13日には、山口高弘さんとジュガールの達人フォクナと私によるトークライブが東京の「府中Indiaバザール」にて開催されます。

創意工夫の面白さやビジネスへの応用について語り合います。ジュガールに興味のある方や、インドの文化やビジネスに興味をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

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