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「心の問題」は、心にあらず

カウンセリングは「心の病がある人」や「心に問題がある人」が受けるというわけではありません。

むしろ、「関係」のトラブルを「心の問題」へと変換してしまっている方がほとんどです。

これを紐解くためにカウンセラーが使う技術を、信田さよ子さんは「関係還元的な作業」と呼びます。

例えば、「自分の心の弱さに問題があるのではないか、もっと強くなられば」という理由でカウンセリングにいらっしゃる方がいます。

日常生活の中で困難が起こったとき、「こんなことになってしまったのは私のせい」と考えてしまうのは、「こんなこと」に対する取り組み方が考えられなくて、因果論的に「私のせい」にしているとも言えるのです。

人間は楽をしたがるので「とにかく原因を早く知りたい」という心性があるようです。

それで、「私がもっとがんばれば」とか、「もっと成長すれば変わるんじゃないか」とか、思われる方はとても多いのです。けれども、いくら自分磨きをしても苦しさは変わらないようです。

現代は、私たちが日常生活の中で築く「関係」が、大きく変容しました。

ですから、自分の親がやり方が自分にできなくて当たり前の時代でもあり、逆から言えば、親のやり方を真似てもうまくいかない時代でもあるのです。

「関係」のトラブルに取り組むのはたいへんな作業です。襲ってくる不安な気持ちをしっかりと抱きかかえる必要があります。「関係」を考えることをサボってしまって、心の症状として現われることがあります。

カウンセラーは、「心の症状」の背景にある「関係」を見立てます。そして、ご自身がどうされたいのかを、一緒に考えていきます。

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