昔ばなしと心理療法
昔ばなしを読んでいると、ある種類の心理療法を受けているような気分になることがあります。
心理学者・河合隼雄先生は、昔ばなし研究者・小澤俊夫先生の昔ばなしの分析について言及してもいたことを想い出すのです。
日本には、口承文化としての昔ばなしがあったから、人びとの心は自然と成熟していったのでしょうか。
けれども、現代社会で流通している昔ばなしは大事な部分が端折られていたり歪曲されていたりします。とても残念なことです。
白雪姫が3回も失敗したことや、シンデレラがお城から3回も戻ってきてしまったことなどは、伝えられなくなりました。
昔ばなしの本質のひとつは、「大丈夫だよ」を伝えているように思います。
人間の、長い人生や、ひとびとのそれぞれの暮らしには、色々あって、それで、大丈夫ということ。
社会全体がそのような寛容性があったら、大丈夫を感じやすかったのかもしれません。
心理療法も、もしかしたら、口承文化のひとつ?
というのは話が飛びすぎでしょうが、人が「語る」ということと、それを「聴く」という、相互的な営みがもつ「力」は、哲学者・鷲田清一を引き合いに出すまでもなく、人間の生を支える根幹であるように思います。
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