R5司法試験_再現答案構成_刑事訴訟法
第1 設問1
1 捜査①
(1)「遺留した物」?
被疑者が任意にその占有を放棄した物も。
甲にゴミ出しシステムの認識あり。OK。
(2)もっとも、上記根拠から、同ごみ袋の占有取得過程が「強制の処分」(197条1項ただし書き)にあたれば、領置は適法とはいえない。
「強制の処分」判例規範。
ごみ袋に対する甲のプライバシーへの期待は、身体・住居・財産等の私的領域(憲法35条1項参照)と同程度の重要な権利利益とはいえない。
そのため、「強制の処分」にあたらない。
(3)もっとも、捜査比例原則(197条1項本文)に反しないか。
任意捜査は、捜査の必要性、緊急性等を考慮し、具体的状況の下、相当と認められる限度で許容される。
重大事件。ゴルフクラブ、逃走経路、カメラの映像→甲の嫌疑大。証拠足跡のみ、靴ごみ袋に捨てうる。ごみ袋の領置必要性、緊急性大。
一方、甲が被るプライバシーへの不利益は小。また、Pは、混同しないよう公道上から目視確認。大家と一緒。そのため、具体的状況の下で相当といえる。
よって、同原則に反しない。
(4)よって、同領置は適法である。
2 捜査②
(1)当該空き容器は、「遺留した物」。
(2)「強制の処分」被疑者甲の黙示の意思を制圧
もっとも、たしかにDNAというのは、個人を識別できる情報であり、そのプライバシーへの重要性は高い。しかし、公道上に投棄した空き容器に付着した唾液は、誰もが採取可能。甲のかかるプライバシーへの期待はきわめて低い。また、個人情報は、身体・住居・財産等の私的領域とは異なる異質の利益。
そのため、身体・住居・財産等への制約がない。
よって、「強制の処分」にあたらない。
(3)捜査比例原則違反につき、上記のとおり同事件は重大である。また、捜査①の結果、犯人特定につながる証拠は得られなかった。犯人は現在も検挙されていない。
そして、ゴルフクラブと黒のマスクのDNAのくだり。そして、甲宅複数出入り。そのため甲のDNA採取の必要性大その唾液のDNAを回収する必要性大。
一方、甲の被る不利益は、上記のとおりプライバシーへの期待が低。
容器の裏側にマークを付けて、他者のものと混同しないよう配慮。あくまで公道上に甲が任意にその占有を放棄した容器から同唾液を回収。
よって、必要性、緊急性等を考慮し、具体的状況の下、相当といえる。
よって、同原則に反しない。
(4)よって、捜査②は、適法である。
第2 設問2
1 実況見分調書①
(1)伝聞証拠論証。
(2)合理的要証事実の設定論証。
(3)調書①全体
特殊な錠。よって、解錠能力の有無は犯人性認定のため必要。よって、立証趣旨=要証事実。
よって、伝聞。
同意なし。
しかし実況見分調書は321Ⅲ類適の論証。
Qの真正作成供述でOK。
(4)写真・説明文
写真は、Qの供述内容と一体。説明文は現場指示。
Qの真正作成供述でOK。
2 実況見分調書②
(1)既に「被害状況」とするVの検面調書あり。そのため、被害再現状況を立証しても証拠としておよそ無意味である。そのため、同書の要証事実は、Vが再現したとおりの被害にあったこと。
(2)調書②全体
Rがその覚知したVによる再現の模様が真実であることが必要→伝聞証拠。同意(326条1項)ない。321条3項によりOK。
(3)写真・説明文
行動によるVの供述。
写真は機械的に録取され署名押印(321条1項柱書)は不要。
そして、Vは死亡しており、同項3号の要件を満たす。しかし、他に被害状況を立証趣旨とする上記Vの検面調書が存在するから、調書②が「犯罪事実の証明に欠くことができない」とは言えない。
(4)よって、伝聞例外をみたさず、その証拠能力は認められない。
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