多読 PROで読解力を高める5つのステップ
こんにちは、Choimirai School のサンミンです。
多読 PROを始めて2年が経ちます。2年間運用してきて300人を超えるメンバーを指導しながら多読で読解力を高める方法がある程度見えてきましたので、いくつかの戦略をシェアしますので何かの役に立てれば嬉しいです。
1. 読解とは何か?
読解とは、特定のテキストが何を意味しているかを理解することであり、著者が伝えようとしている考えは、テキストだけでなく行間を読むのも大事です。どんな文章でも読むためには、脳はその文章の文字どおりの単語だけでなく、その単語同士の関係、単語の前後にある文脈、微妙な言語や語彙の使い方を理解する必要があります。
例えば、ジェーン・オースティンの小説 「高慢と偏見」 の最初の行を見てみましょう。
"It is a truth universally acknowledged, that a man in possession of a good fortune, must be in want of a wife."
【直訳】金持ちの人は妻を必要としているということは広く認められている事実である。
さて、単語の意味だけに基づいてテキストを文字通りに解釈しますと、「金持ちは皆妻を欲しがる。 」と思われるかもしれませんが、テキストの文脈、単語の選択、言い回しを考えると、その解釈は違います。「truth universally acknowledged」や「must be in want of」などのフレーズを用いることで、著者が生きていた時代を絶妙な皮肉で表現していることです。「裕福な男性は妻を求める 」は、真実でもなく、この一文は、結婚に夢中になっている社会についてであり、同時に、冒頭のこの文はその社会の人々が信じているかもしれないが、必ずしもそうではないことを暗示しています。詳細は次の記事を参照してください。
オースティンは短い言葉で、物語の主要テーマの1つである時代、文化、そして人々がどのような生活を送ったかについて、いくつかのアイデアを読者に伝えています。そして、彼女が伝えようとしているメッセージは、作品の文字通りの言葉とは矛盾しています。
読解の練習をしないと、このようなニュアンスを汲み取ることは難しいです。そのため、読んではいるものの、テキストの意味を完全には理解していないことが多々あります。
Reading is not understanding.
しかし、読解力は他のものと同じように習得出来るスキルです。それは実践、集中、努力を通じて、絶対に学ぶことができる能力です。
2. 読解力が重要な理由
文章の正しい読み方や理解の仕方を学ぶのは複雑なプロセスですが、仕事でも趣味としてでもとても重要なスキルです。
読解力は、以下のような日常生活で不可欠です。
■ 英語で文学を読んだり、理解したり、分析したりすること
■ ニュースなどの文書形式で提供される情報を理解し、関わる
■ エッセイ、報告書、メモ、分析などを正しく理解し、対応する
■ 自分の趣味として読書を楽しむ
3. 読解力を深める5つのステップ
ステップ1:メタ認知
ステップ2:語彙力を鍛える
ステップ3:読んだ記事を読み上げてもらう
ステップ4:趣味としての読書
ステップ5:多読の習慣化
読解力は他のものと同じように上達出来るスキルですので、練習と意図的な計画で理解力を高めることができます。
少なくとも1日に30分は、「意図的な読書」と「趣味の読書」に時間を費やしてください。意図的な読書では、新しい語彙を学習し、それに基づいて自分自身をテストするなど、準備と集中力が必要です。一方で、趣味としての読書では、週に2〜3時間、プレッシャーをかけずに読書を楽しんでください。
勉強のための読書と趣味で読む読書を組み合わせることで、読書スキルを向上させることができます。読書は日常生活の大きな部分を占めており、読解力を高めることが、読書の楽しさを奪うことになってはなりません。
では、読解力を向上させるための最初のステップは何でしょうか?
ステップ1:メタ認知で今読んでいることを理解し、再評価する
読解力を向上させるには、まず、現在どのように読書をしているのか、どのような問題を抱えているのかを理解する必要があります。
まず、小説、記事など、ご興味のある素材をレベルに合わせて読んでください。読んでいるうちに、自分の注意力やエネルギー、理解力がどのように変化し始めるのかを知ることが重要です。
時間が経ってから理解力や集中力が低下しがちな場合は、ゆっくりと体力をつけましょう。例えば、読むたびに20分の時点で集中力が切れているのであれば、それを認識して、一気に1、2時間集中するのではなく、ゆっくり時間を増やしていきましょう。
集中力が限界になる時間(例えば、20分)から始めて、休憩。今度は少し増やして23分間読む。23分が苦にならなくなったら、今度は25分に挑戦して、集中力が維持できるか試してみましょう。可能であれば、30分を目標にしてみてください。
集中力や理解力が再び低下し始めた場合は、タイミングを調整しながら、再度読むスタミナをつけるように頑張ってください。改善には時間がかかりますが、一度に急ごうとするとイライラするだけです。
人によって読解力の問題は、読書に費やす時間より「高慢と偏見」で見たように文章の本質的な要素、テキストの文脈、あるいは象徴的な意味を理解するのに苦労する場合もあります。このような場合は、ステップ2を参考にして、読解力の弱い部分を改善してください。
読解力を上達させるのは時間と練習が必要です。自分の長所と短所がどこにあるかを理解することが、上達への第一歩です。
ステップ2:語彙力を鍛える
読む(reading)と理解(understanding)は、語彙、文脈、単語の相互作用の組み合わせに依存しているため、テキスト全体を理解するには、個々の単語を理解する必要があります。
もし特定の語彙を理解するのに苦労しているのなら、文脈の手がかりを通して意味を探ることは難しい。なじみのない単語の定義を調べることは常に良い習慣です。読みながら、分からない単語のリストを作成し、単語とその定義を記したフラッシュカードを作成してください。そして、週に2、3回、15分程度かけて、ブフラッシュカードで復習をするのも良いです。
手書きのフラッシュカードを作るのに時間がかかる人はまずNGSLで基礎的な単語を覚えるようにしてください。
語彙の知識を保持するためには、常に多くの英文に触れて単語と単語を繋げることを意識してください。
ステップ3:読んだ記事を読み上げてもらう
多読 PROでは週にいくつかの記事を課題記事としてアサインしています。アサインした記事の中には Google WaveNetを利用して読み上げてもらった音源を録音し、SoundCloudでシェアするようにしています。
一度読んだ記事を読み上げてもらうことで、発音の確認はもちろん全体の流れがよりわかりやすくなります。
■米国小3レベルの記事
■同記事の音源
ステップ4:趣味としての読書
読解力を高める最善の方法は、ご興味のある素材をレベルに合わせてたくさん読むことです。そして、読むこと自体を楽しむことです!
読書を、読まなければならない宿題ではなく、読むこと自体を楽しむようにしましょう。そうすることで、読書を日常生活の一部として取り入れるようになります。レベルに合う素材で読書に没頭すれば、読解力も自然と上達します。
まず、自分のレベルより一つ下の文章を読むことから始めてください。そうすることで英語アレルギーを取り除き、読むこと自体をリラックスして楽しむことが出来ます。
読みやすくなったと感じたら、読みたいと思うレベルに合わせて読んでみましょう。たとえ今、文章の一部を理解していないと感じたとしても読書を楽しんで続けば、読解力のレベルは時間の経過とともに向上して行きます。
ステップ5:多読の習慣化
多読の習慣化にはきちんとした戦略が必要です。大きなゴールを設定する必要はありません。まずは、一日2本の記事を読んでクイズを解くことから始めましょう。Newselaにある保存機能を使って事前に読む記事を決めておくと、習慣化するのも難しくないはずです。
まとめ
読解力の向上には時間と労力が必要ですが、鍛えることは可能です。上述した5つのステップを踏んで、自分の進歩が遅いと感じても諦めないようにしましょう。自分に合ったペースで読書をし、「意図的な読書」と「趣味の読書」のバランスを保つようにしてください。
日々の生活の中で読書の量が増えるにつれて、理解が容易になり、読書が楽しくなることがわかると思います。すべての文章には、探求すべき意味の世界があり、それを解き明かす方法を学ぶことは、究極のやりがいのある旅になります。