「想起学習 + 間隔反復」でTOEICに必要な英語力を鍛える方法
こんにちは、Choimirai School のサンミンです。
【主要なアップデート】
(2020.04.20)ROAM+TOEICプログラムの追加
00 はじめに
学習とは何らかの知識やスキルを長期記憶に定着させることではなりますが、定着させるには頭の中に詰め込むだけでなく、それを思い起こす作業(Active Recall、以下「AR」)が大事です。忘れかけたところで意図的に思い出す作業を繰り返す(Spaced Repetition、以下「SR」)ことで記憶はさらに強化されます。AR と SR が初めての方はまず次の note 参考にしてただければ嬉しいです。
▼Active Recall (AR)
▼Spaced Repetition (SR)
今回の note では、AR+SR で覚えた内容を忘れられない学習法を紹介します。
01 何故、 TOEIC学習で Active Recall と Spaced Repetition?
2020年の1月から最新の既出問題集を使ったオンラインでの模試会を実施しています。
模試会後に行った個別面談で驚いたのが数日前に解いた問題の答えを覚えてないということ。例えば、次の問題があるとします。
127. A label on each box should indicate the production date as well as the place of ------- of the contents.
この問題の答えは「origin」。参加されてた26名の中でほとんどの方が、問題と答えを思い出せなかったです。日本のTOECI点数が相対的に低い理由がここにあるのではないかと思った次第です。
TOEICは出題範囲がある程度決まっているテスト。既出問題集で出題されている問題のパターンをある程度覚えれば短期間が目標を達成するのも難しくないはず。問題を解く回数を増やすよりも、解いた問題を覚え、似たようなパターンの問題に遭遇した時は、既知の情報から答えを導くような解き方が必要です。Active Recall(AR)と Spaced Repetition(SR)が学習効率を大幅に向上させることは多くの心理学や認知科学の研究で検証済み。
解いた問題を覚え、似たようなパターンの問題に遭遇した時は、
既知の情報から答えを導くような解き方が必要
問題と問題を繋げるようになりますと長期記憶に定着しやすくなって①問題を解くスピードと②正答率が両方改善されるメリットが期待できます。
模試会の参加者に AR と SR を勧めて2か月が経ちます。多くの方が効果を実感されていますので、まだの方はぜひ参考にしてください。
02 用意するもの
パソコン、TOEIC教材、そしてRoam Research(以下、ローム)。スマホから利用することももちろん出来ますが答えを思い起こして入力する必要がありますのでキーボードがあるパソコン上で行うことをオススメしたいです。
下記の図はロームをスマホから開いたときの画面です。
03 問題の準備
TOEICの問題をロームに書き写す。ちょいみらいでは最新の既出問題集をご購入された方には、2020年4月27日から「TEST1からTEST10までの問題をローム化+ロームのトレーニング」をパッケージにしたプログラムをスタートします。
2020年4月27日から「TEST1からTEST10までの問題をローム化+ロームのトレーニング」をパッケージにしたプログラムをスタート
「TEST1からTEST10までの問題をローム化+ロームのトレーニング」
をパッケージにした商品を販売する予定
▼PART5
▼PART6
04 学習スケジュールを用意
Spaced Repetition を駆使する方法はいくつかありますが、今回の note ではライトナー法を利用します。
ライトナー法はとても簡単で前もって作った5つのボックスに学習内容を入れて、異なる頻度で復習を行います。
復習の頻度について色んな提案がありますが、(Ankiも含めて)一般的には SuperMemoのアルゴリズムがよく用いられています。
今回の Spaced Repetition では次のような頻度で行います。
・Box1:毎日
・Box2:3日おき
・Box3:1週間おき
・Box4:16日おき
・Box5:35日おき
テスト日が決まっている時など尻が切られている際には、その日に合わせて復習の頻度を調整するようにしてください。
05 問題をボックスに入れる
学習スケジュールとボックスの準備が出来ましたら、Box1に復習する問題を入れて行きます。やり方は各問題に対し、「#Box1」とタグをつけるだけ!
しますと、Box1 のページには次のように #Box1 のタグが付いている項目が一覧で表示されます。
Box1 のページに複数のTESTセットやPARTからの問題が入っている場合は、フィルターを使って必要な問題だけを表示することも出来ます。
06 Active Recall を始める前に
TOEIC学習で Active Recall の効果を最大限に引き出すためには、問題の解答を正しく理解しているのが肝要です。
①模試を解く→②答えあわせ→③解説を参照しながら正解した問題も含め復習
この一連の流れを終えてから、Active Recall に進んでください。
07 「Daily Note」からBox1の復習を開始
ロームでは毎日 Daily Noteのページが作られます。この note は3月28日に書きましたので、左のメニューから「DAILY NOTES」を選択しますと、March 28th, 2020 というページに移動します。あと、「Box1」を3月28日に復習すると前もって決めてありましたので「March 28th, 2020」の下に、
Review [[Box1]] - every day [[March 28th, 2020]]
とリマインドが表示されています。リマインドがあることでその日のやることを忘れずに行うことが出来ます。
08 サイドバーから学習内容を確認
Shiftキーを押しながら、Box1をクリックしますと下記図のように右側にサイドバーが表示されます。
Box1のコンテンツはフィルターを使って必要な項目だけに絞ることも可。今回のデモでは「P5」と「T8」タグを選択し、最新既出問題集TEST8 PART5からの問題だけを表示するように設定しています。
09 問題を Daily Note に埋め込む
ロームではあるページの情報を別のページに埋め込むことが出来ます。慣れるまで少し時間がかかると思いますので下記の手順に従って繰り返して練習してください。
①「/」でコマンドを表示
② Block Embed を選択
③ 埋め込む項目を検索
④ 該当項目を埋め込む
ページから「/」を入力しますといくつかのコマンドが出てきます。その状態で、「em」と書くと em が含まれているコマンドの一覧が表示されます。
Active Recall では Block Embed を利用して Daily Note に該当問題を埋め込みます。
Block Embed を利用して Daily Note に該当問題を埋め込む
TEST8 の問126 を復習する時は、{{embed: (())}} の所に、08q12 と入力をしますと、その綴りで始まる項目がリストアップされます。
{{embed: ((08q12))}}
上記の候補から、08Q126 を選択すると次のような奇妙な文字列(OHzqP-caz)が現れます 笑。
この状態で、カーソルを一番右に移動させてエンターを押します。
カーソルを一番右に移動させてエンターを押す
すると次のように、08Q126 の問題が「March 28th, 2020」のページに埋め込まれていることが確認できます。
ここで注目してもらいたいのが、右のサイドバーにある問08Q126に「1」という数字がついたことです。この数字はこの項目が他のページで何回参照されているのかを表しています。この番号は後述する「12 勉強日記」でより詳しく説明させていただきます。
この数字はこの項目が他のページで何回参照されているのかを表す
10 答えを思い起こす
08Q126 の答えは「before」です。「March 28th, 2020」のページに埋め込んだ問題の下に、before と入力した後、サイドバーにある矢印(▶︎)をクリックしますと答えが確認できます。
こうして正しく思い出した場合は、08Q126 の #Box1 タグを #Box2 に変えて、Box2へ移動させます。
タグを #Box2 に変えると「March 28th, 2020」のページには 08Q126 の項目がまだ表示されていますが、右側にあるサイドバーのBox1からは消えたことがわかります。
11 Daily NoteからBox2の復習を開始
Box2の復習も基本的に Box1の復習と一緒です。Box2の復習は3月29日。
3月29日になりますと自動的に、「March 29th, 2020」のページが生成され画面の下に、
Review [[Box2]] - every 3 days [[March 29th, 2020]]
とリマインドがあります。
① リマインドにある Box2 をShiftキーを押しながらクリック
② 右側のサイドバーから復習する内容を確認
③ March 29th, 2020 のページに復習する問題を埋め込む
④ 思い起こして答えを入力
⑤ サイドバーから答えを確認
答えを確認した後、正しく思い出せた場合は、問題が含まれているボックスを #Box2 から #Box3 に変更。但し、間違えた場合は、Box1 へ戻します。
12 勉強日記
ライトナー法で定めたスケジュールに従い Active Recall の復習をやっていきますと問題の右上に数字が現れます。Shiftキーを押しながら、この数字をクリックしますと右側のサイドバーにこの問題がどのページで参照されているのかがわかります。
例えば、上記の例では問06Q127 は3月25日、27日、そして29日に復習をしたことがわかります。このように、ロームを使うことで何時、どんな勉強をしたのかが自然と履歴として残るようになります。
時間に余裕がある方は復習をしながら①覚えようとしたこと、②考えたこと、或いは③やってみたことを一緒に記録してみてください。新しいことをどんどん頭に入れようとするだけでは、あまり理解は進みません。新しく学んだ「事実」と「感情」を一緒に記録するのが大事です。
こうした勉強日記を読み返すというのは自分が体験したことを、もう一度振り返ってみること。勉強日記で自分の間違った理解が見つかる場合も少なくないはずです。TOEICのPART7では特に。いったん自分の中を通り抜けたことですので短時間で思い出せるし、勉強日記の量が増えてくると自分はこれだけ勉強してきたんだなという自信にもなります。
13 注意事項
ローム(Roam Research)はまだベータ版ですので無料で利用することが出来ます。但し、今後有料となる予定だと聞いていますので予めご了承ください。
14 動画
今回説明した内容をまとめた動画です。
15 まとめ
今回の note ではTOEICに絞っての話だったのですが、「Roam + Active Recall + Spaced Repetition」のコンビネーションは英検やTOEFL、IELTSなど他の学習でも Unforgettable Learning(忘れられない学び)が実現できますのでぜひ試してみてください。