幸福の増税論
私も増税は必要と考えていますが、それをいきなり実施すると、弊害が生じるでしょうから、まず社会の立て直しをおこなってからという条件付きですが。政治への信頼回復が、優先されなければいけない、ということです。
経済が「脱成長」の段階に達してしまっている以上、社会保障の充実には、その財源は税金に頼る必要があるように考えています。
このようなことは、「勤勉と貯蓄」という通俗道徳が支配的であった高度経済成長期でなければ、適用できるものではありません。しかし、そのようなマインドは生き残り続けています。
そしてこのシステムで弱者となるのは、「通俗道徳」に従わなかったからだ、という自己責任によるものだとされ、その救済は重視されにくい、という心性に落ち入りやすい、ということになります。
多くの人は良心にもとづいているという信頼関係をもてずに、他者への猜疑心にとらわれている、といえそうです。
公共のものへの投資と保障、これの財源となるのは国債か税金です。
と、国債は金融機関らの不当所得になる、ということです。
井出英策『幸福の増税論 財政はだれのために』 岩波新書 2018
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