見出し画像

おいしい珈琲がわからなくなってしまった私の珈琲は50g110円

以前は豆にこだわってみたりおいしいといわれる珈琲店でバリスタとか資格を持ってる方に入れていただいた珈琲を飲んでいました。ブレンディなどのインスタントなんて目もくれないし、カルディで季節限定の豆を購入していました。自宅にハンドドリップで入れるための道具も用意していました。珈琲は嗜好品でお酒やお菓子のようにそれを欲する年齢や味覚によっておいしいの価値が上下するものだと思っています。私は深煎りで苦みのあるものが好きだけど、エスプレッソまでいってしまうと苦すぎて味を楽しめないので、深煎りの豆を店で引いてもらい自宅でハンドドリップ(高温の湯で一気に落とす飲み方)に落ち着きました。ところが原価高騰や産地の収穫量減で豆が入手しづらくなり価格も高騰してそれまで気軽に飲んでいた珈琲が飲めなくなりました。珈琲断ちも考えて二週間ほど我慢してみたのですが、どうにも体調が整わず、そこまでしてやめなくてもいいのではと思うようになりました。好きだけど、過剰に摂取しているわけではなく牛乳もいれているし日に3杯ほど飲む程度だったからです。では珈琲は飲むことにして豆はどうしようと思いました。欲しい銘柄が手に入らなくなることは今後も起こることなのだと思ったからです。買い物に行く度に価格を見比べて安い豆を探すのも手間です。結論一番安く手に入れられそうなものにしてみることにした。松竹梅商法ってありますよね。私は竹を買ってそこそこ高かったのに欲を満たせず失敗するタイプです。ダイソーで瓶に入ってるインスタント珈琲、50g110円。砂糖も牛乳もいれるのでそこそこおいしいカフェオレができました。意外に満足してしまったのです。ああ、私の味覚って・・・あのこだわりは一体なんだったのだろう。良いことなのだけど、これまでの自分の努力を振り返り少々悲しくなってしまう。「おいしい」とはなんだったのだろうと感じて久しぶりに有名店で人にいれてもらった珈琲を飲んでみようと思いました。出かけてみた結果は惨敗です。店員の方は味見するわけではないからマニュアル通りにおいしいとされるいれ方で出してくださったのでしょうが、おいしいと思えなかったのです。店員さん、ごめんなさい。ダイソーで買えるうちはまだしばらくこのインスタントのお世話になろうと思っていますが、おいしい珈琲を飲みたいという私の欲は引っ込んではいないのです。そもそも何がおいしかったのかも、もう思い出せないのに。またきっとどこかのお店に飛び込んで飲んだ珈琲に絶望するのかもしれないですが、おいしい珈琲を飲みたいという欲望を満たすべくお店に入ることをやめはしないだろうと思うのです。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集