見出し画像

21世紀の知恵の樹の実

米国アップル社は、日本時間2024年9月10日午前2時にi-Phone16について発表した。新しい仕様として、生成AI「Apple Intelligence」が搭載されるとのこと。「21世紀の知恵の樹の実」というべきかも知れないスマートフォンなど携帯情報端末は現代においてもはや生活必需品であり、社会のインフラはそれらに対応したかたちへますます加速的に変容している。
 
情報革命は1980年代から始まったと言われる。
 
個人向けPCやインターネットの普及前夜の世界はもはや想像すらできない。
 
人類は便利で安全な生活を手に入れるために新しい技術を創造してきた。生成AIはその最先端にあるもののひとつだろう。
 
人類の歴史を紐解けば、農業や牧畜、あるいは産業革命も「便利で安全な生活を手に入れるための新しい技術」であり、当時としては夢のような革新的技術だったことは容易に想像できる。初めてこれらのアイデアを聞かされた同僚は、「そんな事ができるはずがない」と鼻で笑ったことだろう。しかし、現在においてこれらは人類を支える最重要基盤技術である。
 
情報革命も同じだ。
情報革命黎明期において、半世紀後のこの現代社会を予言できた者などおらず、確信していたごく一部の変わり者は荒唐無稽なSFだと揶揄されていたことだろう。
 
情報以外にも、DNAを操る生命科学や原子力開発もよく似た道のりを進んでいる。技術開発のすべては便利で安全な生活を夢見て、できるはずがないことを現実させるためのツールなのである。
 
しかし、それらを創造し使いこなそうとしている人類は、本当に「便利で安全な生活」を手に入れようとしているのだろうか。意図しない悪用によって、創造した技術が大規模な殺戮や破壊の手段へと堕ちていくことは、何度も歴史で繰り返されている。
 
新しい技術が創出されてしまったら、それはもう消去できないし後戻りもできない。そこに新たな技術を重ねて、さらなる高みをめざして登っていくしかないのだ。
 
技術は技術であり、それ自体に善悪もなければ邪な企みもない。技術の創造と悪用は常に隣り合わせの永遠のパラソックスである。もしもこの天使と悪魔が話し合えるとしたら、話題はイデオロギーや良心ということになるのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?