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雲南日本商工会通信2022年4月号「会長の挨拶」

 1939年から1945年まで、日本・ドイツ・イタリアの同盟国とイギリス・フランス・中国・ソ連・アメリカなどの連合国の間で起きた世界的規模の戦争、第2次世界大戦。
 大まかにいうと、そのきっかけはアメリカの1929年10月のブラックサーズデー、いわゆる世界恐慌に発展した株の大暴落である。
 日本にとっては、第1次世界大戦後の恐慌や関東大震災の煽りを受け経済的に窮地に立たされていた矢先の世界大恐慌である。まさしく泣きっ面に蜂。植民地を持つフランスやイギリスがその植民地を利用し、外国からの輸出入を制限して自国内でやり繰りして不況を凌ごうとするブロック経済が横行すると、更に日本は苦しめられ、ついには他国を侵略して不況を回避しようと考え、結果起こした行動が満州侵略だった。
 一方ドイツは第1次世界大戦により負った負債が200兆円、そこに世界大恐慌の煽りを受け国内は最悪の状況。まずはミュンヘン会議によってドイツ人の多く住むチェコスロバキアの一部を割譲することに成功(ここでイギリスやフランスが譲歩してしまったのがはなはだ疑問ではあるが)。調子に乗ったドイツは乗じてポーランドに攻め込み、ここでイギリス・フランスを巻き込んで第二次世界大戦がはじまったのである。もちろん、当時独裁者として指揮していたヒトラーの戦略は成功とされ、国民から絶大な支持を受けていたのは言うまでもない。
 当時窮地に立たされていた日本とイタリアは、快進撃を続けるドイツに乗っかれとばかりに3国同盟を結成、当然勝てる戦争と信じて連合軍を相手に宣戦布告し、世界大戦に発展したのである。
 
 現在第3次世界大戦まで懸念されているロシアによるウクライナ侵攻問題。ロシアの行動を肯定することは無いがロシアの言い分は次のようになる。
 元々ウクライナにはロシア系の民族が多く住んでおり、特にドンバス地域は親ロシア系の地域である。ロシアはこの住民を同胞と捉え、憲法上でも彼らを守る権利を有している。2014年に民族主義色の強いポロシェンコの政権が誕生したことでウクライナでは中央と分離勢力による内戦が始まった。ロシアの立場としては当然同胞である分離勢力に加担することになる。この内戦を解消するためにドイツやフランスの仲介によりミンクス合意(2015年)を得て停戦に持ち込むが、自分の領土を奪われたくないウクライナは合意後もこの内容を無視し続けてきた。この無視し続けてきた7年の間に何が起こっていたのか。
 ウクライナはNATOに加盟することでドンバスとの内戦の後ろ盾が出来ることになり、対ロシアに圧力をかけることができる。一方でアメリカは数十億ドルに上る軍事支援をウクライナに行ってきたことで、同国が欧州地域でロシアの次に軍事力の大きい国に成長した。
 この状況を黙って見過ごすわけにはいかないロシアは侵攻という強硬手段に出たわけである。
 もちろん民間人をこれだけ犠牲にし、核をちらつかせて世界に脅しをかけるやり方は許されるものではない。しかしロシアの目的がウクライナを奪うことではなく、その軍事力を減少させ、NATOに加盟しないことで中立化させ、アメリカを矢面に引っ張り出すことであるというのが本当なら、ロシアが直面する“恐怖”については理解できる。また、第2次世界大戦前にドイツがチェコスロバキアを取りに行った事情と近似している。
 それより、自分たち(アメリカ)が第1次世界大戦後に浮かれた末のバブルとその崩壊で引き起こされた世界大恐慌。それを解消するためドイツや欧州諸国に大量の武器を売ったのもアメリカ。そして第2次世界大戦で勝利と富を得たのもアメリカ。そして現在も、ウクライナに大量の武器支援をすることで高みの見物をしながら不況やコロナショックをカバーしようとしているのではないかと想像すると、次はどうなるのか少々背筋が寒くなりませんか?
 歴史が繰り返されないように祈るばかりです。
 
 さて、日本ではオミクロン株による感染者が毎日5万人を超え、欧米諸国は既に蔓延したと判断され様々な規制が解除され始めています。
 中国はというと、相変わらず強硬な抑え込み政策を採っており、主要都市のロックダウンやコミュニティの閉鎖などが頻繁に行われています。元々抑え込みに成功していた中国ですが、良し悪しは別にしてほかの国々との感染格差がこれだけ広がってしまうと国際間移動したい人にとっては不便でなりません。これからも他国間の移動が自由になったとしても中国との移動がなかなかままならない状況が続くような予感がして憂鬱になります。感染に関しては他の国と足並みを揃えて欲しいと思うのは私だけでしょうか。

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