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雲南日本商工会通信2022年12月号「会長の挨拶」

 10月中旬。5年に1度の中国のお偉いさん達の会合。この会合が終われば誰もがゼロコロナ政策を緩めると思っていましたが、逆に更なるダイナミックゼロコロナ政策を打ち出しました。
 前々回にも触れましたが、これだけ経済的に落ち込んでいる中でのゼロコロナ政策は、国民ですら疑問に思っている人が少なくないようです。原因の一つとして、会合前に北京や上海で感染者が続出し、街がロックダウンされていたことが挙げられるでしょう。しかしながら、病原強度を弱めながら感染力を増している新型コロナウィルスを、今までと同じように抑え込むには限界が来ていると感じます。
 他国が対策を緩めたのは、感染しても大事には至らないと考えたからです。そして方針を「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」に切り替えました。そんな中でも、他国とは別の方針を打ち出すのがこの国らしいところと言えばそれまでですが、実際に国民の不満は相当募っているようです。
 北京、上海に続き広州、深圳、重慶、成都などの大都市が次々にロックダウン。この11月に入ってからは、その波がついに昆明まで押し寄せてきました。この2年間、雲南省での感染者は多い時でも20名程度。しかも都市部ではなく、国境近くの町や村が多く、昆明都市部に住む我々はマスクすらせず通常通りに暮らしていました(地下鉄やバスなどの公共交通機関を利用する際には必要でしたが)。
 また、各人の健康状態やワクチン、PCR検査の結果を表示する健康コードは常に緑で、気にする人はほとんどいませんでした。
 ところが11月初旬、都市部で10名ほどの陽性者が発生したのを皮切りに、一度は抑えられたかと思えた感染者が同月中旬には35名。これは昆明では未曾有の数字でした。
 そして、濃厚接触者がいると思われる小区(村・町単位)を丸ごと閉鎖する手法で抑え込もうとします。当時はこの封鎖地区が10か所でしたが、毎日200名程度の感染者が発生している現在(11/29)では封鎖地区は130か所にも上り、実際に自宅隔離で動けない人の数は数十万人となります。
 これはもう市全体のロックダウンと変わらない状況と言えるでしょう。私の住む馬金舗(市中心から40キロほど離れた場所)でも、周辺3か所の村が封鎖され、「高新開発政府」からの指示で全員毎日PCR検査の実施が求められています。いつ工場も閉鎖され、隔離されて不自由な生活に突入するかわからない状況です。
 こんな中で、中国全体の各地区でデモが起きているようです。強制PCR検査反対デモです。ロックダウン中の各都市部でも毎日PCR検査が要求されていますが、それと同時に飲食店や小売業、大型店舗等が閉鎖されて不満が募っていることが原因とされています。
 またそのきっかけが、検査の増加によってPCR業者が260億元(日本円にして約5000億円)の利益を上げていることを、ネット上に暴露されてしまったことにあるらしいのです。また、さらに噂は広まり、業者が検査を増やすために故意に陽性者を出しているという疑惑まで取りざたされている有様です。
 今後中国全体及び昆明がどのような状況になっていくのかも不安ですが、国内の不満のガス抜きとして日本叩きや外国人叩きをする可能性があることにも、一抹の不安を覚えています。
 
 さて、昆明は混沌としてきましたが、重慶総領事館から先日、連絡をいただきました。「雲南省に住む日本人の方々におかれましては、コロナ感染に注意するよう、また、デモ等には近づかない、関わらないよう、くれぐれもご注意いただきたく。実際に不自由なことや困ったことがあった場合にはご連絡をいただきたい」との事でした。
 商工会としてもメンバーの皆様にはできる限りサポートいたしますので、何かありましたらご遠慮なくお気軽にお声がけください。

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