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神経衰弱、勝つか負けるか、楽しむか・・・!


「神経衰弱」
一面に並べられたトランプの中から選んだ2枚をめくり、同じ数だったらゲット。最後に一番多くの枚数を獲得した人が勝ち。
数あるトランプの中でも一番シンプルで簡単なゲームだと思う。

3歳、4歳の子どもたちが4人で神経衰弱を始めた。
私も一緒にやろうと声をかけてもらったので参戦することになった。
そう、参戦。負けず嫌いな私にとって負けられない戦いなのだ。
記憶力は子どもたちの方が断然あるので、私も大人気なくつい本気になってしまう。

途中、どうしてもジョーカーが欲しかった子がゲット出来ず涙したり、
順番を飛ばしたり、しまいにはこっそり近くにあるカードを覗いてみたり…
その度私は「それはズルい!」なんて大人気なく張り合っていた。
だって真剣勝負だもの。

ゲームも終盤に差し掛かり、残りのカードも4分の1程度となった。
5人でやっていた神経衰弱だが、飽きてしまった一人の子は「全然面白くないからやめた!」と言ってその場からいなくなった。
悔しい気持ちと、長い時間やっていたことで飽きもあったのだろう。

すると残ったメンバーのひとりの子が、
「確かに、なんか全然取れないよね〜めくっちゃおう!」
と突然ルールを完全無視するようなことを楽しそうに言った。
「よし、みんなでめくろう!」
他の子たちも一斉にカードをめくり始めた。
残されたルールはただ一つ、2枚ずつめくり、数を確認したら裏に戻す。
それを3人同時に繰り返していたのだ。
「5…あ、さっきあったよ!ほら、あった!はいあげる」
自分のをめくりながら他の子のカードも確認し、情報を共有する。
そして数が合ったらその子に渡す。
そんな行為、神経衰弱において最も御法度な行動ではないか!!!

しかし、みんなで一緒にめくりながら、
「こっちにあったよ!」「やったね!」
と声を掛け合いながら楽しむ3人の姿は、それまでやっていたルールががっちり存在する神経衰弱の様子より何百倍も楽しそうに見えた。

トランプゲームを楽しみ始めた子どもたちにとって、カードをめくる、同じカードを見つけ喜びを感じる、
ただそれだけのことがとても楽しく、それを子ども同士で共有することもまた面白い瞬間だったのだろう。

この子どもたちの様子を見守りながら、
“私はなんてつまらない大人になってしまったのだろう…”と自分にがっかりしてしまった。
ルールや勝ち負けの面白さを知ってしまった私は、それに囚われすぎていたかもしれない。神経衰弱において敵にカードのある場所を教えるなんて負けたの同然だし、きっと本気になったら「え、それでいいの?こっちじゃない?」なんてつまらない嘘までつくかもしれない。

しかし、子どもたちはそれを超えるゲームの楽しさを見出したのだ。
まっすぐな気持ちのままでの面白さ。

改めて子どもの目線での遊びを知る良い瞬間だった。
私も今度は子どもたちのまっすぐな気持ちで神経衰弱をやってみよう。



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