Die Verwandlung
タイトルを見て「?」と思った方もいるだろう。一応ドイツ語の原題を書いてみた。
日本語に訳すと「変身」で、フランツ・カフカが書いた短編の小説である。短いため割とサクッと読めるのが魅力だ。
久しぶりに読書をしたので、これをnoteに書こうかな…と思いつつ、文章を書き進めていく。
(なお、ここから先は感想を書いていく。ネガティブなコンテンツが苦手な方はここで閉じていただいた方が良いかもしれない。)
はじまり〜終わりまで
「グレゴール・ザムザという男性が、朝不安な夢から目が覚めると、毒虫になっていた。」という書き出しで、この物語は始まる。
そのような彼が家族と共に送る生活、将来どうなっていくのかを描くのが、大まかなあらすじだ。
グレゴールの家族構成は、父・母・妹の3人。仕事はセールスマン。しかし「父の事業が上手くいかず、借金を抱えた状態になるが、家族に苦労をさせないようにしている」という設定がある。相当な働き者だったのだろう。
また、妹を音楽学校に行かせるための費用についても考える描写がある。家族思いの青年だという印象を受けた。
しかし、この状況は彼が虫になってから一変する。家族からは恐れられ、だんだんと放置されていく様子が描かれていく。今までに掃除されていた部屋はホコリだらけになり、物置部屋と化していく。また、父親が投げたリンゴが背中に突き刺さるようなシーンもあった。ここから先は、ネタバレになるかもしれないので、書かないでおこうと思う。
考えたこと
一言で言うなれば、憂鬱な気分になった。
家族のためを考えて一生懸命に働いていた青年が、最終的には邪魔者として扱われていく。「あまりにも非道な仕打ちではないか」と悲しい気分になった。
また、所々にグレゴールの労働環境が悪い部分が見受けられる。移動が激しいところ、他のセールスマンとの生活の比較。「自分は早起きして、辛いのになぜ」という不満がある。
それにもかかわらず、家族のために働いていたこと。年老いた両親と、生活のことを考えていたこと。そこには、真面目という一言では片付けられない何かがあると思う。
それを、「お金を稼げないから」という理由で、他者の存在を排除する、家族の冷酷さに鳥肌が立った。人間はこんなにも残酷になる生き物なのか、と悲しくなる。ある意味、現代においても当てはまる部分はあるのかもしれないとも考えた。
「虫」の正体とは?
書き出しに出てくる、「毒虫」という言葉。原文を見ると”Ungeziefer”という言葉が出てくる。この言葉の意味は、「有害・穢らわしい生き物」のような感じである。(和訳した方によって表現が異なるが、その部分には言及しない。)
ドイツ語を学習しているときに聞いた話だが、この話の表紙を作る際、カフカがあることを頼んだらしい。
それは、「虫の絵を書かない」ということだ。気になる方は、初版の表紙絵を調べてみてほしい。
私がこの話を聞いた際、「どうして虫・昆虫系の何かを描かないんだろう…」という疑問を抱いた。理由としては、「気持ち悪いもの=人間サイズのG」というイメージが個人的には強いからだ。(あえて虫の名前は伏せておく。)
ここからは個人的な見解だが、虫をあえてかかない理由は、「気持ち悪いもの」のイメージを読者に委ねたかったからだと思う。
自分にとっての気持ち悪いものを投影させることで、家族から迫害される様子、絶望感等をありありと描き出すこと。家族によって付けられた身体的・精神的な傷をより一層生々しくすること。これらの効果があるのではないかと考えた。
また、この話からは「自身が信頼している人物の変貌」についても考えさせられた。身の回りにいる人を、「家族」「友人」等と一括りにして、信頼すること。助け合うこと。それは素晴らしいことだと思う。
しかし、自身の存在が脅かされたり、お互いの生活に関する問題が起こったとしよう。その場合、彼らがどのように変わってしまうのか。また、自分はどうなってしまうのか。考えたくもないが、実際に私たちの身の回りによくある問題なのかもしれない。
最後に
初めからネガティブな読書記録?となってしまったが、いかがだっただろうか。
少しでも、「変身」を手に取ってみようと感じた方がいてくれたら嬉しい。
(この本は、読了後、憂鬱な気分になる可能性が高い。朝に読むことはあまりお勧めしない一冊だ。)
気が向いたら、また自身の読んだ小説等もnoteに書いていこうと思う。
追記 (ここだけ口調を変えます)
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
以前の記事のコメント欄に、感想等を書いてくださった方々、ありがとうございます。嬉しいです。
これからもマイペースで更新を続けていく予定です。コメント欄に感想などを書いていただけると、飛んで喜びます笑
(「作者へのお問い合わせ」という機能も良ければ是非…)
重ねてにはなりますが、ありがとうございました!
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