『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』
NewsPicks創刊編集長を務められた、佐々木紀彦さんの本書が面白すぎて2日で読み切ってしまった。
なんとなく「起業したいけど自分でも起業できるの?」と考えている人、社内で新規事業を立ち上げている人でも十分役に立つ起業エッセンスが満載だ。
はじめに、著者が提唱する起業するべき理由と一般的な起業に対する誤解を解いている。さらに、起業で失敗しないためのマインドセットやテクニカルなアドバイスを惜しげもなく提供してくれている。
僕自身勉強不足のため、初めて聞く経済用語もいくつか出てきて少し戸惑ったが、本書の中で簡単に解説もしてくれているので全然苦痛ではなかった。(ストックオプション・シード・シリーズA・IPO etc…)
「こんな用語なんて知ってて当たり前!」と言われそうだが、その意味と意義を知ることが個人的にはとても新鮮で起業の世界が見えた感じがしてとても面白かった。
起業家になるべき理由
個人的に納得した起業するべき理由は2つ。
1つ目は「サラリーマンとは違う思考・経験ができる」という点。
少数精鋭でゼロイチの事業を立ち上げ、トライ・アンド・エラーを繰り返し、いろんな人と関わりながら事業をスケールさせていく。そのプロセスや修羅場をくぐり抜けた経験は、それ自体が素晴らしい経験なのだ。
仮に失敗したとしても、それはそれで人生の貴重な財産。(失敗に関しても、今の時代は転び方次第では、せいぜい自分が背負う借金ぐらいのものらしい。)
比較ばっかりするのはどうかと思うが、つまりはサラリーマンよりも圧倒的にビジネス力と人間力がつきそうってことを言いたいのだ。
2つ目は「自分たちの力で社会を変えていける」という、強烈な生きがいを感じられる点。
会社から与えられた仕事ではなく、裸一貫、自分のアイデアだけを引っさげて同じ志をもった仲間たちとビジョン達成に向けて突き進む。
そんな眼をほとばしらせている自分を想像するだけでもとてもワクワクした。そこには何ものにも代えがたい経験や喜びが待っているんだろう。(それ以上に大変なこともめちゃくちゃあるんだろうけれど。。。)
起業を成功させるためには?
本書には著者が考える起業の成功条件も提示してくれている。
まずは、己を知る。
そもそも、自分は起業家に向いているのか?
なぜ、起業したいのか?
起業に向いているとすればどんなタイプの起業家なのか?
どんな分野であれば、自分の情熱とリソースをすべて注げるのか?
ここらへんを徹底的かつ冷静に内省するべきと説く。
そして、ミッション・ビジョン・バリューを徹底的に考え抜く。
ミッションとは存在意義。
ビジョンは目的とか目標。
バリューは行動指針。価値観や倫理観とも言い換えられる。
あとは事業やチームづくり、ファイナンス政策がくる。
この3つもめちゃくちゃ大事だなって読んでてすごく思った。
というか、この5つどれもが外せないピースとなっており、一つでも欠けると成功しないなと得心。
全体を通して
起業本の最初としては、とても良い本に出会えた。
漠然としていた「起業」というものの解像度が読む前と後でまったく違うからだ。
そして、起業のリアルを知るなかで決して自分も遠い世界の話ではないなとも思った。だからといって、軽い気持ちでできるものでも決してないのは忘れてはいけないぞ、おれ。
あふれるほどの情熱・仲間集め・マネジメント能力・資金調達など、求められる能力は数え切れないからな。
徹底するけどやりすぎない準備をしたら実行に移す。あとは、走りながら学ぶ。これが成功への鍵らしい。
起業はやるに値する挑戦であるのは間違いない。
自分のためにも、社会のためにも。
たか