女戦士とマーニャとConcordと「ポリコレ」とか
ポリティカルコレクトネスをポリコレと略すだけで文脈が乗っちゃうのが嫌だなー今回話すポリコレは本来のポリティカルコレクトネスじゃないんだよなーということで「ポリコレ」と表記しています。
以前マーニャの服装が変更されたことについて書きました。
今度はほぼ同じ手法でドラクエ3 HD-2D版の女戦士の衣装が変更され、やや燃えしたようです。
なんかこう、健康情報番組の実験VTRに出てくる被験者が着てるみたいな、絶妙なダサさです。ゲーム中に出てくるドット絵ではほとんど元デザインとの違いがわからないとのことです。
ところで別口として、長年かけて開発され、SIEから出たヒーローシューターConcordが発売からわずか2週間でサービス中止が発表されたことが話題になっています。
ゲームは未プレイなので特にこの件については意見も感想もありません。ただConcordが人気を獲得できなかった理由の一つが「多様性や『ポリコレ』を取り入れたキャラクター造形」にあるという言説が多く見られています。
そしてドラクエ3の女戦士の件でもConcordの件でも、「このような（自分にとって）残念な結果になってしまったのは『ポリコレ』に配慮したからである」というストーリーがインターネットのそこかしこで語られています。残念なことです。
そもそもドラクエ3の女戦士やモンスターズ3のマーニャの件は「ポリコレ」というよりも、それより広い範囲の企業としてのコンプライアンス遵守に対する態度として、またCERO等のレーティングによる販売機会の増減と原作の尊重、それらの綱引きによるものだと思いますし、なにより焦点を当てるべきなのは肌の露出が減ったことではなく、追加されたインナーがシンプルにダサすぎることでしょう。新しい衣装がカッコよくさえあれば文句もほとんど出ない。
Concordの件についても、キャラクターに非難が投げられるのは「ポリコレ」に配慮したからではなく、造形が優れていなかったからでしょう。「ポリコレ」を取り入れつつも人気を獲得している作品やキャラクターは沢山あります。
更に言えば、エンタメ作品のような、人間の認知が評価に深く関わる領域に関しては「キャラクター造形が良くないから面白くない」みたいな単純な因果関係よりもむしろ「面白くないから面白くない」的なトートロジーや「面白くないからキャラクター造形が良くない」といった因果の逆転の方が起きやすいものだと思います。Concordだって、ゲーム自体がメチャクチャ面白ければキャラクター造形に対しても悪くないじゃんってなってる世界は想像できるじゃないですか。
ドラクエもConcordのどちらの件に関しても、「ポリコレ」という受け入れたくない概念が浸透しつつある→このゲームのキャラクターが気に入らないのは「ポリコレ」を取り入れているからだ→だからこのゲームは「ポリコレ」によってつまらなくなってしまった
という仮想敵のいるストーリーは一貫性があり、確かに受け入れやすくあります。それでも、一度落ち着いて、自分が本当に残念に感じているものがなんなのかを見つめられればいいなと思います。
ところでこの件について考えてる時、ポケモンってゲーム内容はメチャクチャ保守的なのにトレーナーのキャラ造形は毎回先進的だよなと思いました。
終わり。