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勢いで書いたエジプト日記🇪🇬

カイロ空港に着いてからバスターミナルへ向かう途中、黒猫を見かけた。
人に擦り寄りながら歩いており、大層人懐っこい猫に見えた。しかしよく見ると、彼女はかなり痩せ細っていて、擦り寄っていたように見えたのは、ただまっすぐに歩けないぐらいに彼女が弱っていたからだった。
エジプトに到着したばかりの私には何もできない。心配をよそに、バスターミナルへと引き続き向かう。
途中道を間違えたことに気づき、来た道を戻ると、ふと足元に風化した猫の死骸を見つけた。
これは先ほどの猫の行末であり、そしてこれがエジプトという国なのであると私はその時思った。

エジプト。
まだ滞在日数2日目にして言いたいことが沢山ある。が、もはや何処から話していいのかわからない。
その後無事に乗れたバスは、100年前に作られたバスかというぐらい古めかしくて、排気ガスの量もとんでもない。乗車中、ずっとガスが体内に吸い込まれていくのを感じる。心なしか、街も微かに白い。実際にガスで煙たいのか、はたまた朝霧なのかは不明。多分、両方。
しかも乗車方法がなかなか面白くて、バスが走っている中、乗客は後ろの入り口から乗り込んでくる。降りる時も、その場所が近づいてきたタイミングで前の出口で待機し、降りたい時に運転手に声をかけ、スピードを緩めてもらう。そして下車。しかも車が激しく行き交う場所で。
日本のように、いちいちバス停に停まらない。皆当たり前のようにそれを飄々とやってのける。
お金は、乗車時に切符係のおじさんがお金を受け取りに来てくれるので、そこで切符と交換する。ちなみにここではおつりをしっかりくれた。

そう、おつり、というかチップ。
エジプトではおつりが返ってこないと思った方がいいと本かネットの記事で読んだ。
実際のところは、どれもちゃんと私たちに権利があって、ただ無闇にお金を取られるわけではない。
カフェやタクシーのお代を払う時に「お釣りはいくらにする?」と聞かれる。
ピラミッドに近づけば、怪しいお兄ちゃんが「チケット売り場まで案内する」と言って私たちをそこへ連れていく間、ラクダや馬に乗らないかと勧誘をしてくる。断ってもなかなか引き下がらず、チケット購入後もずっと付いて来るので、いくばくかのお金を渡して満足して頂くことになる。ただこれも、私たち側が金額を決められる。正確な金額を要求してくるわけではない。
博物館の荷物預け所も、「How much?」と聞くと「Up to you.」と言われる(本当は無料で預けられるらしく、渡す時も「外に見えないように隠れて渡して!」と言われた)。
あと、チップを渡した時の嬉しそうな反応がたまらなく可愛いので、こちらも幸せになる。
考古学博物館にあるカフェでは、お釣りをいくらにするか聞かれ「For you(全部君にあげると言ったつもり)」と答えたら、帰り際「バイバイ、クイーン!」と手厚く見送ってくれた。
あと、持参していたラムネを一緒にプレゼントすると、とっても喜んでくれる。可愛い。
逆にいえば、満足する額じゃないとしっかり嫌そうな顔をされる。わたしは耐えられず、「満足するチップを渡さなきゃ」と謎の使命感に駆られていた。

しかし一方、タクシーや、先ほど言ったラクダや馬については確実にびっくりする金額を取られる。
初日に乗ったタクシー、最初は2人で150ELと言っていたのに、いざ着いてみれば500EL。しかも一人当たり(つまり2人で1000EL、3人乗れば1500EL)!
ラクダや馬は、おじさんが「10ドル、5ドル、OK、1ドル!」と言いながらピラミッド鑑賞中の我々にずっと付いてくるスタイル。これが結構粘ってついてくる。おかげで気持ち穏やかにピラミッドを見るのはなかなかの苦難。ピラミッドを見に来たのか、おじさんたちの勧誘を見に来たのか、よくわからない。
結局私はラクダも馬も乗ることはなかったが、多分乗ってたらとんでもない値段になってたんだろうなと思う。
(追加:といいつつ、その後ルクソールで勇気を出して乗ってみた馬は最初に提示された1ドルで乗ることができた。運次第)

ぼったくりといえば、ハン・ハリーリという市場も有名。たくさんのお土産店や衣服店が立ち並んでいる。
歩けば、「ミルダケ、タダ」とそこら中で声をかけられる。いざ気になって入店し、いくらか聞くと、本来の値段よりも何倍も高い値段を言われる(と言いつつ、日本円にしてみたら「まあそれぐらいしてもおかしくないかな」というぐらいの値段、私的には)。
そこからお互いの値段交渉合戦が始まり、どちらか折れた方が負け。
海外レベルはビギナーofビギナー、且つ値段交渉初挑戦の私は、プロの目から見たら全然生温い交渉に見えただろうけど、それでもスマホの電卓を使ってお互いの希望する金額を打ち合い、リアクションするのが面白かった。
正直、初日の私はそこら中で金の匂いがする声かけを沢山され、タクシーのぼったくりに落ち込み、エジプトのパワフルさに心が折れかけていた。が、ハン・ハリーリでの経験を通してちょっぴり楽しさが分かったような気がしてきている。
それから、普通に親切な人も沢山いて(というかそもそも皆、根は温かくて優しい)、逆に親切にしていただいた時にチップを渡そうとして断ってくるエジプト人も何人かいた。

ところで、そこら中で「ニホンダイスキ!」と声をかけてもらえるのだが、この言葉に次いで多いのが「ヤマモトヤマ!」。
ヤマモトヤマって何?と思い、調べてみたところ、有名な海苔会社らしい。もはや今の私たち日本人が知らない言葉を、彼らは知っている。それから日本の車が人気らしく、「スズキ!トヨタ!ストロング!」という声を何人かのタクシーの運転手さんから聞いた。
国内線の空港、お店、観光地、道端、そこかしこで「どこから来たの?」と声をかけてもらえ「日本だよ」と伝えると、各々が知ってる日本語を話してくれる。ありがとう、こんにちは、見るだけただ、1ドル一枚、ヤマモトヤマ…。
エジプト人の商売魂とフレンドリーさに感服するばかりである。

-10/18 AM3:00
野良犬の声が響くカイロ市内のホテルにて

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