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砂明利雅
2023年3月26日 04:11
喉に痛痒さを感じて目を覚ました。唸り声が出る。毛布を被った体が促すままに息を発するとそれは咳となり、胸の奥から音が鳴った。息を吸って口から入り込む空気は、冷たく、乾いている。床に清潔で細やかな生地の布を敷いてはいるが、古びた木の箱みたいな馬車の中ではどうしても粉塵が舞ってしまうのだ。そして、この埃っぽい空気は喉を刺激し、冷たいくせに喉を焼いたようにしてくる。「フェンレイ、だいじょうブ?」 甲