マガジンのカバー画像

女剣士の絶望行

24
挫折の彼方、死を見据える彼女に回生の機は訪れるのか。  女剣士、豊蕾(フェンレイ)は絶望の地を目指していた。自らを責めながら、苦しみと共に。なぜ彼女が死せる道を往くのか。それは…
運営しているクリエイター

#オールカテゴリ部門

女剣士の絶望行 一章 蕾む菊の花 X話 絶望

 喉に痛痒さを感じて目を覚ました。唸り声が出る。毛布を被った体が促すままに息を発するとそれは咳となり、胸の奥から音が鳴った。息を吸って口から入り込む空気は、冷たく、乾いている。床に清潔で細やかな生地の布を敷いてはいるが、古びた木の箱みたいな馬車の中ではどうしても粉塵が舞ってしまうのだ。そして、この埃っぽい空気は喉を刺激し、冷たいくせに喉を焼いたようにしてくる。
「フェンレイ、だいじょうブ?」
 甲

もっとみる