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砂明利雅
2023年7月17日 03:57
人々が我先にと逃げ回り、怒号が飛ぶ。一方では悲鳴、嗚咽、そして狂喜の笑い声が上がる。まさに混沌であった。 そんな中、私と允明は刀を向け合ったまま対峙する。背後には菊花様がいる。彼女に奴を近づかせはしない。「どうした? かかってこいよ、豊蕾。この雑魚女」 大柄の允明が見下してくる。亡き龍翔が斬ってつけた左頭の傷からは血が流れているが、その勢いはおさまりつつあった。允明はさっきまで痛がる様子
2023年11月6日 00:09
私は宮廷の裏、木々の生い茂る庭にいた。優しく照りつける陽光に、緑の香る穏やかな風。机と椅子を置き茶会をしていた。目の前に座るのは、黒髪の髪を細かく編んだ鈴香と、小柄で肩くらいまでの栗色の髪が優しくおろされた、菊花様。「豊蕾の淹れてくれるお茶は、いつもおいしいです」「ホントですよね、菊花様。豊蕾、もう一杯ほしいな」 二人とも茶を飲んで微笑んでくれている。私はそれが何よりも嬉しい。剣しか知らな