【40/28 Pham Viet Chanhの玄関が生まれ変わります!バリアフリーについて】
当店が一階に入る40/28の改装工事が、いよいよ始まりました。
といっても、改装、修繕されるのは玄関はじめ、当店以外のお部屋と共有部分です。
オーナーさんとも8月頃から、打ち合わせをさせていただきました。
ここにもう4年いる先住民の私に、改善して欲しいところ、そのままにしておいて欲しいところを入念にヒアリングをしてくださいました。
費用はすべてオーナーさん負担です。
日本ではたいがい、間に管理会社(不動産屋、不動産紹介会社)が入りますので、オーナーさん独自で改修や賃貸募集などすることはあまりないと思います。
私も一棟借りの条件に変ってしまった時は、不動産屋さん5社にお願いしました。中には借主側が仲介料を負担するという条件の不動産屋さんもいらっしゃいましたから。そもそも私はプロではないし、やりたい仕事でもないので、お金で解決できるところはお金で解決したい。
結局はオーナーさんの伝手で、一棟借りしてくださる会社さんが見つかりました。
「業者を通さないでやりたい」。
ベトナムの場合、そういうオーナーさんが多いようです。業者に費用を支払いたくないためかと思っていたのですが、その分、余裕を持って改修費用を捻出できますね。
一方、リスクを伴いますし、ご自身の金銭以外の負担も相当たいへんです。
さて、まずは玄関から工事が着手されました。
もちろん、すべてローカルの業者さんです。
玄関口の路面はすべてフラットに。
庭も壊され、土は袋に詰めて運ばれてゆきました。
「庭を壊しましょう!地面をフラットにしましょう!」
とオーナーさんと速攻に意見が一致。
ですがこうしてフラットになった玄関を見ていると。
4年間、毎日掃除し、乾季には毎晩庭木に水やりをし、コロナのロックダウン時には、たわわに実ったスターフルーツを独りぼっちで収穫し、スープや甘露煮にしたこと。
いっぱい思い出があります。
呆気ないものですね…。
そして仕事早い!次の日にはタイルが貼られ、玄関には階段が。
で、絶句したのです。
廊下から「いきなり階段~~~!!」
こんな施工を見たのは生まれて初めてです。
バスじゃあるまいし、階段3段、上がっていきなり建物って。
昇るときはともかく、降りる時、危険すぎます。お客様、お酒が入っていらっしゃいますし。
第一、玄関としての風格がない…どころか、玄関として成り立っていない。
玄関に上がるときは三和土、廊下には「踊り場」が必要です。
そしてその時、初めて気が付いていたのです。
以前の玄関の、いたずらに歩かされるスロープは、実はバリアフリーだったことを!
そういえば、バギーや車いすでお見えのお客様もいらしたのは、当店がバリアフリーだったからではないのか?
さすが、先進国とともにLGBTの支援活動をしておられたICSさんですね。
ゴミの捨て方など衛生観念は及びませんでしたが(日本はその逆です)。
とにかく慌てて、バリアフリーについて日本の規格をググってみました。
「日本ではバリアフリー新法の指針は歩道と横断歩道の段差は『2センチ』と定めている。が、路面に傾斜をつけることでも解消できる。
https://kow.co.jp/technical-report/report-wheelchair-step-1/」
ではどうすれば良いのか。
そこで当店のお客様で、お世話になっている一級建築士の方にMessengerしたところ。
たまたま「今、ホーチミンでベトナムの学生さんたちに、建築のことをはじめ日本の文化について講義をしているところ」というお返事が。
抗議終了後、ご無理を申し上げて店まで足を運んでいただきました。
そして「踊り場は〇cm以上必要、階段の幅は〇cmは縮めても良い、そして階段の右側にスロープを取り付ければ?」
そのほかにも安全対策として手すりを付けては?スロープは滑らない材質を。滑り止めを付けては?など、いろいろアドバイスをいただきました。
興味深かったのは、オーナーさんがサイズを測るとき、数字によって「風水的」吉兆があると、話しておられたことです。
中国4,000年の歴史、叡知の極みから生まれた学問を大切にするところ。私も風水を参考にベトナムに来ましたから、とても共感できます。
さて。
さらに念のため調べたところ、実際のバギーの横幅サイズは63cm幅。手動車椅子は63cm、電動車椅子は70cmでしたので、それを元に簡単な設計図を書いてみました。
そしてこんな風になりました。
ですがギリギリのサイズなのと、少し勾配が急なので(その代わり短いスロープですので安全性は担保できていると思います)、気を付けてご利用くださいませ。
さて、色々とアドバイスしてくださった建築士の方に少しお話をお伺いしました。
「日本はバリアフリーに関しては、30年前から取り組み始めた」らしい。
私の子供の頃は、そんな配慮はどこにもない街づくりでした。
それでもまだ、「1cmの段差でも、利用者にはキツイ」という声や、「まったく段差がないと目の不自由な方には危険」など、難しい点があるようです。
一方、段差だらけ、階段の幅が不ぞろい、穴ぼこだらけ、と、トラップだらけのベトナムの道路事情。
バリアフリーの道は遠そうです。