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脳の中にある模様

読書

以前取り上げた

面白い本に書かれた別の事を。
「見てしまう人びと」オリヴァ―・サックス著 早川書房 
この本で一番おもしろかったのは
片頭痛の時に見える「模様」について書かれたところだ。
実際にはそこに無いのに
目には渦巻き模様や杉綾模様や幾何学模様などの
古代から世界各地で残されてきた種々様々な「模様」が見えるというのだ。
自分はこれまで模様というものは
自然界の種々様々な造形を意匠化したものだと思ってきた。
画家の熊谷守一のように
複雑な形を単純化して・外界のモノにある決まった形を見出す。
しかし
どうやら人間は頭の中に模様というか・形を持っているようなのだ。
それが片頭痛の時に見えてしまうことがある、と。
そして
片頭痛持ちは、結構な数存在する。
あれらのカタチを目の前に見てしまった人は古代から相当数いた
ということだ。
ってことは、だ。
おなじみの「模様」の元は
身の回りのモノから創造されたものではなくて
片頭痛持ちが見た・・・要するに神秘のカタチだったのでは?
芥川龍之介が見た「歯車」のような。
片頭痛に限らず
様々な薬効成分の摂取・麻薬成分の摂取によっても見えたとか。
そうか、模様の成立過程は普通に考えられてきたのとは逆かもな。
昔から
考古学や人類学、民族学、芸術などでは古代の模様について
あるカタチが何を象徴しているか、意味について研究されてきたが
実は逆に
見えてしまった・見えてしまうカタチが先にあって
それに意味づけしていたのかも。
何にでも意味づけしたくなるのが人間だから。
そして
片頭痛持ちではない人の頭の中にも
モノの形を認識する型として実は色々な「模様」があることで
自然のモノや身の回りのモノの中に模様を認識しては
「ああ、これこれ♪いいね」となるのでは、と思う。

大学で学んだゲシュタルト心理学を思い出した。

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