物の物語
親戚のおばが介護施設へ入ったので
三泊四日で家を片付けに行った。
「いいおべべどすなあ」だとか
「マ〇モトキヨシのカードこれで3枚目ー」だとか
カビの胞子とホコリの舞う中淡々と仕分けをしていって
最後に壁の柱時計をおろした。
ヨーロッパテイストのスマートなデザイン。
持つところ持つところ、ぐらぐらしている。
文字盤にネジ穴が付いているけど、なんちゃってアンティークとか?
と思いつつひっくり返して見てみたら裏側に墨で大きく
「大正八年是ヲ求ム」と。
キ・ターッ♪♪♪
いきなり気分はアゲアゲである。
今から100年近くも前の時代の柱時計か。
かなーり「リキ」を入れて購入したに違いない。
年代と販売店の住所から
おばの嫁ぎ先のご両親が結婚した時に求めたものではないか、と。
ウーム、その家のその時代のお話は何度も聞いていたので
ありありとイメージが湧いてくるのであった。
さらに
イマドキのアクセサリーとは明らかに造りも雰囲気も違う指輪が一つ。
これは、ヒスイだよね。
形状は半球。
そういえば
おば夫婦が実家を出て独立するときに
実家の仏壇に入っていたヒスイの玉簪を二つに切って指輪にして
おばと姑とで一つずつ分けた、という話を聞いたことがあった。
ってことは、これが・そーかーっ♪♪♪
もしそうだったら、柱時計からさらに一代さかのぼって
今から120年以上前のものか。
もう一つの指輪は今どこにあるのだろうか。
“二つに分かれしヒスイの玉の再び一つに出合いしとき・・・“
ナンて、脳内ミステリーが走り出す。
やっぱり自分はモノにまつわる歴史が好きなんだなあ。