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アセトアルデヒド

勉強

アセトアルデヒドと言えば
ああ、二日酔いのアレね、と思う人が大半ではと。
ところがこの物質、思わぬところで目にしたのでござる。
先日来カキについて調べていて
渋ガキと甘ガキの違いについて、そして渋ガキの渋抜きについて
農業や植物の専門家のサイトに行ってみたらば
アセトアルデヒドがこれでもかと出てきましてな。

まずはカキそのものについて。
カキは元々みな渋ガキであったのが
鎌倉時代に突然変異で甘ガキが出来てしまったのが甘ガキの始まり。
だがしかし
寒い地方では甘ガキを植えても渋ガキになってしまうこともあって
渋ガキの渋抜きが古来より工夫されてきたのだと。
さてそこでカキの渋みとは、というと
カキの渋みを感じるのはタンニンという成分があるためで
これが可溶性(水に溶ける)だと舌に渋みを感じるが
不溶性(水に溶けない)タンニンに変化させれば
渋みを感じないようになる。
これってステルスタンニン?

そこでいよいよタンニンを不溶性にする方法を。
まず
○焼酎やエチルアルコールをかけて密閉する
アルコールが酸化してアセトアルデヒドができて
アセトアルデヒドの作用で可溶性タンニンが不溶性タンニンになって
渋みを感じなくなる。
次に
○二酸化炭素と一緒に密閉する
酸素が欠乏することで
ブドウ糖から始まる呼吸の解糖系の産物であるピルビン酸が分解されず
ピルビン酸からアセトアルデヒドがつくられるので
アセトアルデヒドの作用で可溶性タンニンが不溶性タンニンになって
渋みを感じなくなる。
そして
いよいよ本命・おなじみの干しガキは
○カキの皮をむいて日に干す
お日様に干すから太陽の光で渋抜きができるのかな?
と思わせて!
皮をむいて干すことで
実に被膜が出来て呼吸ができなくなって
実の中にアセトアルデヒドができて・アセトアルデヒドの作用で
可溶性タンニンが不溶性タンニンになるからだと。
それに加えて水分が飛んで濃縮されて別格の甘みが生まれるのですな。

なーるほど。
要するに渋ガキが渋くなくなるのは
ぜーんぶアセトアルデヒドのおかげだと。
お日様、直接関係なかったのかぁ。

ところで
渋柿でも柔らかくなるまで熟すと渋みがなくなるのだと。
それは実の中にアセトアルデヒドが発生するのに加え軟化に伴って水溶性ペクチンやこわれた細胞壁とタンニン物質が結合して凝固するからだと。

そうだよなあ
渋ガキが渋いままだと鳥や動物が食べて種を運んでくれないよなあ。
渋いのは種が十分に熟すまでは食べられないようにするという戦略
っていうか
そういう性質のカキが生き残って今に至っている、ということだ。
ちなみに
これ以外に見つけた渋抜きの方法の一つが
お湯に漬ける、というもの。
これ、考えてみると酸素が欠乏することでアセトアルデヒドが発生する
ということで、二酸化炭素と一緒に密閉する方法と同じではないかと。
ということは・お湯じゃなくても
カキをビニール袋に入れてできるだけ空気を抜いて水に漬ければ
っていうか、大きなジップロック、でも足りないから
あの布団収納袋に入れて
掃除機で空気を抜いて密閉しちゃえば水もいらないとか?
そのほかには
皮をむいて乾かしてレンジにかけるというのもあったが
これも干しガキと完熟ガキの原理を合わせたような方法だ。

というワケで
ああ、やっぱりアセトアルデヒドなのだなあ。
これ、二日酔いの元になるだけじゃなくて
こんなに役立つ物質でもあったのだなあ。