方向音痴
コミュニケーション
地図が読めない・読むのが苦手、という人はたくさんいる。
単純に記号がわからない、というワケではない。
そもそも地図という抽象的な表現物を現実世界に適用できないのだ。
さてそこで
地図と現実との一番の違いはなんだろうか。
それは「視点」の違い、だと思う。
ほとんどの地図は上から見た図だが
ご存じの通り、我々は普段世の中を水平に見ている。
地図が読める人というのは
上から見た図を自分の水平の視点に転換できる人だ。
地図を手に持って眺めているときには
「この道をこう行って、こう行ってから、こう行く」
と簡単に考えることができる。
しかし
実際に歩き出して、交差点を曲がると自分の向いている方向は90度変わる。
にもかかわらず、頭の中の、あるいは手元の地図の向きがそのままだと
地図の向きと自分の向きとが違ってしまう。
道を曲がるたびに向いている方向が変わっていくため
どっちを向いているのかワカラなくなって
その結果、道に迷うのである。
(アナタは教習所のコースを一発で覚えられただろうか)
そこで・迷わないためには
例えば道を90度左に曲がったら
頭の中の、あるいは手に持っている地図の向きを90度右に向ける。
地図の方位を正しい南北から逸らさない。
頭の上に方位磁石が浮かんでいる感じで。
自分は、頭の中に地図から少し浮かび上がった鳥瞰図を描く練習をした。
そんな練習は要らないと言う人は・・・まあ、どうでもいい。
その一方で
誰かにどこかへ行く道順を教えるには
何か目立つ・目印になるような建物などを基準にして
そこを起点に説明するのがわかりやすい。
そして
その基準の場所からどちらへ行くかを言うのに
東西南北では言わないこと。
普段はあまり方位で考えていないから。
○○に向かって右側とか
○○と△△の間の道を行くとか
○番出口を出て左側とか
とにかく目に見えるものを基準にして具体的に説明するといい。
加えて
ざっとでいいから距離や時間も具体的に。
○○から向かって右側に100メートルくらいの建物とか
駅から歩いて5分以内とか。
そうすれば間違えても「こんなに遠くないはずだ」と気づく。(はずだ)
地図を描くときも距離を入れておくとわかりやすい。
そういえば昔、道を教えてもらったときに
「駅前のコンビニの横の道をずうっと上がって行って」
と言われたので
「コンビニ、二つあるけど、どっちの?」
「セ○ンの方?○ーソンの方?」と聞いたら
その人が固まってしまいましてな。
その人の脳内ではコンビニは「いつもの」一つだけで
数十メートル離れた別のコンビニは存在していなかったワケだ。
しかもコンビニが「セ○ン」とも「○ーソン」とも意識してはおらず
その人の脳内では単に「コンビニ」というだけだったのである。
そもそも意識している部分だけ記憶するのが人間なのだ。
「脳力」の節約である。
写真を撮るのとは違う。
とにかく、「感じ」で言わない。
「駅のまん前をずっと行って」は危険だ。
さて、それでも
どうやって説明しても通じないときには通じない。
角から三軒目と言ったのに三丁行ってしまうとか
右側ね、と言いながら左側に行ってしまう人もいる。
(どちらも本当にあった怖い話)
そういうわけで
迷ったときのために必ず連絡先を確認しておくこと。
「ねー、あなたの車が何度も目の前を通り過ぎて行ってるんだけど。」
(これも本当にあった怖い話)
いや、ホントに
道順の説明は易しそうで難しい。