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#93.「子供と犬は〇〇の達人」

こんにちは!
15年以上【犬の保育園】の先生を行っている尚ちゃん先生と申します。

さて、前回は【犬と水遊び】をお伝えいたしました。

今回は【子育て犬育て】、

「子供と犬は〇〇の達人」

という内容です。

「〇〇」に入る文字はわかりますか?

これは・・・
今回は「観察学習」です。

「観察学習」とは、いわゆる「マネ」から学ぶ手法です。

子供と犬は驚くほど「観察」から学びます。

赤ちゃんの頃から、子供はよく親や兄弟、
他の人のすることをよく見ています。

人と犬の共通点はいくつもありますが、
幼い子供たちと仔犬たちの「学び」の段階は
非常に似ているところがあると思います。

そのひとつは「非言語」であるということ。



赤ちゃんから、3~4年くらいは、
人間は自分の感情や行動を言葉に上手く表すことができません。
もちろん個人差はあります。

我が家の子供たちは環境も、
育成状況は各自ほとんど変わりはありませんでしたが、
上に兄弟がいる、いないで全く違うのだなと感じることが多々あります。

「この状況の時にこの言葉を、表現を、体勢を、恰好、動きをつかう」
ということを、
こちらが教えるまでもなく、色々なところから学んでいるんですね。

そしてその相手は共にいる時間が長い親兄弟が一番多いと思います。

下の子は、上の子を見て育ちます。



上の子が怒られているときに、
こそこそとお片付けなんかをしたりしてます。

「お兄ちゃん、怒られてるね~自分はいい子です」ということを、
全力でアピールしているんですね。

犬も、ある程度おなじことが言えます。

以前、外国人の飼い主さんが飼われているワンちゃんをお預かりしていたことがあります。

この子は完全に英語で育ち、日本語はわかりませんでした。

主に、ホテルで毎回数日から数週間お預かりをしていたのですが、
そのうち完全に日本語も理解するようになったのです。

その当時、犬の保育園でレッスンをしている子たちと
一緒に過ごすことも多かったその子は、
彼らがレッスンしているのを毎日眺めているうちに

「あの言葉の時は、あれをしたら自分もおやつがもらえるんだな」

ということがわかったんですね。

教えていないのに「ハウス」と言ったら一緒になって
空いているクレートにさっと入って、

いかにも
「僕も参加してます!よろしく!」という表情で待っていたのは
面白くて、今でも思い返すと笑ってしまいます。

これはうちの亡き愛犬にも全く同じことが言えました。

私が直接何かを教えていなくても、
横で見ているだけで彼は「ははあ、これをこうするんだな」ということが
すぐにわかって、おなじ行動をします。

犬の観察学習能力は大変優れています。

この事からも、

「言葉をかけるより、行動を見せるほうが学習しやすい」

ということがわかります。

多頭飼いのお宅でも、同じようなことが日々起こっていると思います。

特に聞かれるのは、トイレトレーニングで、
1頭目は苦労したけれど、2頭目は1頭目がしているのを見て、
何も教えていないのにすぐにできるようになった、
ということはよく聞かれます。

もちろん、【観察】以外にも【匂い付け】という強力な要因がありますが、トイレは特に多頭だと教えやすいことは明確です。

そして犬と子供、観察学習のすごいところは、

「共に行動することで、タイミングや行動パターンを選び、トラブルを避ける能力が上がる」


ということです。

難しく言っていますが、たとえば子供同士で遊んでいるとき。

滑り台やおもちゃの貸し借りでは自然と順番を守ったり、
相手とルールを自然と共有して、仲良く遊ぶようになります。

犬もその通りで、例えば私が複数のワンちゃん相手に
「お座り」「マット」などを指示しているとき。

周りの子たちを見て、
「まだ動いちゃいけないんだな」
「これからご褒美をもらえるんだな」
「まだ自分の番じゃないんだな」
ということを自然と学んでいきます。


子供たち同士、犬同士で遊びながら学んでいるとき、
私たち親や飼い主が手出し・口出しをすることは、
タイミングをよく図る必要があると思います。

むやみに手出しをするのも、放置しすぎるのも良くありません。


仲良く遊んでいたと思ったら、なぜか取っ組み合いのケンカをしている・・・・なんてことは、犬にも子供同士にも(特に男の子同士は)よくあります。

犬と子供が観察学習が得意な理由。

それは、犬と人間が共に

「社会生活・集団生活を営む動物種である」

ということがあげられそうです。

集団生活、社会生活を営む動物、
しかもそれぞれがその集団の中で役割を担い、
それを果たすという場合、共に生きる相手との調和・共生は第一条件です。

そのためには相手の出方、行動、タイミングを見て
自分にデメリットがなく、メリットを多く得られるように、
先人をよく観察して、その行動をマネすることが一番早いのです。

犬も子供も、本能的にそれをよく知っています。

だからこそ、自分の近くにいる存在をよく観察し、マネをし、メリットがある行動をいち早く取り入れ、デメリットを避けるために相手を観察して行動します。

そしてこれは、人と人、犬と犬だけではなくもちろん、
人と犬の間でも行われる観察学習で、
とくに犬たちは人の行動を非常によく「観察」し、
どのタイミングで、どういう行動を、そんなパターンで飼い主さんや家族が行うのか。

それは自分にどんなメリットとデメリットをもたらすのか。



教えていないのに、非常によく「理解」します。

時にその「観察学習」は飼い主さんやご家族ご自身すら、
気が付いていないところで進む場合すらあることは
とても面白いなと思います。

犬と子供の、たぐいまれな「観察学習能力」。

それは彼らが心地よく、相手や帰属する社会で不要な争いを避け、順応してストレス少なく生きていくために備わっている本能だから。

そして私たちが覚えておくべきことは、
「親や飼い主が【言ったこと】ではなく、犬と子供や【していること】をよく見て行動や言動を決定している」ということです。

・・・私も、改めて我が身を振り返らねばなりませんね。


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