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何故、漢方を学んできたのか。

こんにちは。

一口に漢方と言っても昨今の主流は「中医学」で、「漢方相談」の看板を掲げているその殆どが中医学の流れを汲む処方を取り扱う薬店です。
私が自身の体と向き合い、「漢方の師匠」の下で学んできたのは我が国独特の発展を遂げてきた「日本漢方」の方なのですが、ここでは敢えてその両方の是非を問うつもりは毛頭ございません。(何と言っても専門家ではありませんので、偉そうなことは語れません)

漢方治療を始めた頃、自分でも何かしら勉強をして理解を深めたいと思い、
師匠に週一回の講義をしてもらい、手元にある書籍を貸していただいたり譲り受けたり・・・自分でも都心の書店に良い書はないかと出向いたりしました。

こちらの三冊は、勉強を始めた当初、師匠から譲り受けたものです。

真ん中の渡辺武先生の著書は初心者にも非常に解りやすく漢方薬のことが書かれており、何度もページをめくっていたのでご覧の通りのボロボロぶりです。(セロテープでの補修が激しい笑)

両端の書の著者である大塚敬節先生は、我が師匠の直師匠である荒木性次先生と「湯本求真先生」の下で机を並べた四羽ガラスのおひとりです。

どの先生も「現代漢方医学のパイオニア」とも言える錚々たるお顔ぶれで、
私などがお名前を出すことすら憚られます。

大塚先生の書には漢方薬による治験例や処方の解説、また更には腹診・望診など様々な漢方の診断法が書かれており、非常に興味深いです。

大塚先生は医師であり「漢方医」でありました。
昭和の初期に日本では内務省令によって「医師は漢方を標榜して門戸を張ってはいけない」ということになり、それ以来医師は漢方と言う看板を掲げてはいけないばかりか、投薬袋にも診察券にも「漢方」という文字を入れることを禁止された・・・とあります。
(「漢方医学」p12より抜粋)

このままではおそらく、漢方専門の医院は絶滅するのではないだろうか。
大塚先生のこの予測は残念ながら現代に当てはまります。
現代医学(西洋医学)でのエビデンスを最重要視する医師の方々は、
何故漢方薬を軽視するのでしょうか?
それは端的に言えば「成分も薬理も良く解らず、それで治ったとしてもそれは学問にならない」という事のようです。

患者サイドから見ればエビデンスなどと言うものはどうでもいいことで、
それで楽になり、化学薬のように「臭いものに蓋」的なことを繰り返す不安から逃れられ、病や不調の根本治療が出来るのが希望なのですから。

それは私自身が身に染みて経験してきているから言えることなのですが、
「人間は自然の一部である」と言う東洋思想の根源の部分を、私たちは今一度胸に留め置かなければなりません。

漢方医学の先達の方々の著は、植物に対する畏敬の念、人間は自然と向き合った時に初めて己の生き方を知る・・・拝読しているとそんな壮大なテーマが伝わってくるようです。

手前の4冊は折に触れ、ページをめくる書ですが、奥の二冊「七合」「新古方薬嚢」は荒木先生の有名な著書ですが、私ごときでは難しすぎて全く手に負えません(笑)
ほぼ古文です。そしてガッツリ専門書ですので凡人の私には理解不能ですが、師匠の師匠たるお方の著書を手元に置いておきたく、古書店でその昔購入したものです。

ということで、所持しているだけでいいのです。はい。(解らない言い訳です)

湯本先生の門下である大塚敬節先生と荒木性次先生。
お二人のタイプは全くの真逆だったと聞き及びます。
荒木先生は医師ではなく薬剤師で、その漢方理論も独特だったと言います。
その独特さと真正の日本漢方を受け継いだ我が師匠の「証」の捉え方は天才的でした。

このような「天才」がだんだんと世から引退され、引き継ぐ者がいなくなる残念さよ。

どちらか一方に偏らず、西洋東洋のいいところを伸ばして共存させようと言う気はないのでしょうかね。

師匠から譲り受けた漢方の資料。もっとありますが一部です。

薬草も精油も
この地球上で人間が生きるために絶対必要な植物から生まれています。

形態や性質は違えど、同じ植物から。
そして人間もまた同じ地球上に生きる「自然物」です。

どう生きればよいか?の真髄を教えてくれているのは
実は植物たちなのかも知れませんね。



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