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#9 自分の気持ちを言葉に乗せて

(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)

君は今日、夕方の帰り道、電車の中で20分以上、ワンワンと大声で泣き続けていました。もちろん、周りの目を気にすることもなく、眠さと空腹で泣き始めたものの、途中からなぜ自分が泣いているのかわからなくなったようでした。

周りの目を気にせずに、自分の感情や欲求を泣くことによって表現するのは、幼稚園に通う、この時ぐらいでしょう。15歳になったら、人前で泣くのがちょっと恥ずかしいと思ったりしていませんか。

では、ちょっと目線を変えて、もし君が電車に乗ったとき、目の前に大泣きをしている子どもがいたら、どんなことを感じますか。また、どんな感情が自分の中に湧き出てきますか。

正直に言っていいんですよ。「うざいな(もうこんな言葉使っていないかな)」とか、「なんでそんな大声出すんだよ」「静かにしてほしいな」って不快な気持ちになったりしませんか。私は正直、そう思ったりします。わが子でも、他人の子でも。

けれども、泣き続ける君(子ども)をみていると、だいたい泣いている君(子ども)自身がなぜ泣いているのか、わからないことケースが多い気がします。きっかけは、お菓子がなくなったとか、転んだとか、いろいろだけど、そのあとは、欲求が満たされないこと自体で泣き出し、しまいには、親に「静かにしなさい」と言われてさらに泣く。

そうなったら、泣く以外の選択肢がないのでは、と思うんだよね。

だいたい、なぜ自分が泣いているのか、きちんと言葉で説明できるくらいなら、幼児は泣くことはないよね。だって説明した方が、欲求が満たされる可能性が高いから。私を含め、大人って何かと子どもに説明を求めるんだよ。「なんでそんなことするのって」

これから進路を考えたりする場面があると思うけど、やりたいこととか、やりたくないことって全てを上手に説明できないと思います。親にはわかってもらえない、そんなことがたくさんあると思います。

大きくなっても、自分の考えを説明することは難しいことです。

難しいからこそ、私も最大限、君のことを理解しようと努めます(きっと変わらず努めていると思います)なので、君もできるだけ自分の言葉で説明しようと努力をしてもらえると嬉しいです。100%は理解できないけど、1%でも理解できる部分を増やすことに意味があると思います。

少なくとも4歳の時の君より、15歳の君の気持ちの方が理解する方が、私にとってやりやすい気がします。

父親のことが嫌いでも、良いです。
ただ、必要な場面では語り合いましょう。


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