#20 涙の理由がわかる人でありたい
(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)
君は、どちらかというと親の言うことを聞く良い子でした。自分の主張することはありますが、結構、相手の顔色を見て行動を変えるところがありました。
そんな君でも、よく夜遅くにキャーキャーはしゃぎすぎて、「うるさい!」と母親に怒られています。
ただ、先日は怒られただけとは考えられないくらい大泣きをしました。しゃくるように泣き、この世の終わりを察したかのような泣き方。どこか怪我でもしたのかと思って近づき、私が抱っこをすると君は「もっと遊びたい」と言いました。
そこで私は思い返し、泣き始める前の数時間、君は両親が会話をしていて、自分と遊んでもらえないことを察し、自分一人で(時に弟と)遊んでしました。何も言わずに。本当は、一緒に遊んで欲しかったのでしょう。
言いたいけど言えない。我慢していた気持ちに、母親からの「うるさい」とキツく言われたことで、ついに寂しさが爆発してしまったんですね。抱っこされた君はひたすら私にくっつき、泣いていました。
「絵本を読もう」そう私が言うと、君は静かに頷き、泣くのをやめて、意気揚々と本棚に走って、本を選んでいました。切り替えが早いのは、子どもの天性です。
今の君は、寂しくて涙することはありますか。恋人が最近冷たいとか、友達となかなか会えないとか、そういったことで寂しさを感じますか。家族に会えなくて寂しいとか思っていたら、私は、きっと良い親子関係を築くことができたんでしょう。(そうであることを願っています)
なんとなくですが、君は15歳になったら、一人でやりたいことをやると言って、私の元を離れて生きていく気がしています。(完全な勘ですが)
もう本音で親と話すようなことはほとんどないかと思います。何か親子で意見が対立して、ぶつかった時には、涙することもあるでしょう。それは悪いことではないし、むしろ感情をストレートにぶつけてくれるのは、幸せなことです。
そう言った時でも、私は、その涙の理由を察する人間でいたいと思っています。人が涙する場面は、とても感情が揺さぶられてた瞬間であります。そして、当然ながら4歳の時と15歳の時の涙は理由が違いますよね。お互い言葉で会話をしていても、伝わらない感情の部分を汲み取れる、そんな人でありたいと思っています。
私は勝手ながら、君に、誰かの涙の理由を察して、そっと側にいて支えることができる人間になってもらいたいとちょっとだけ思ってます。まあ、言われるまでもないことかもしれないけどね。