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蝉の音がきこえる

今年初の蝉の音を聴いた。

聴いた瞬間になんだか懐かしくなり「夏だ〜」と感慨深い気持ちになった。
心に響くというか、沁みるというか。
とにかく蝉の音を聴いて、心にグワァ〜っと何とも言えない感情が溢れてきたのだ。
切ないような嬉しいような。


夏といえば蝉の音。
どんなに暑かろうと、お祭りが開催されようと、花火が打ち上がろうと、スイカを食べようと、衣替えをしようと、それだけでは「夏」という感じがしなかった。
蝉の鳴き声、これぞ私にとって夏を告げる合図なのだ。

最近は暑いか寒いかの二択になってしまい、気候だけでは季節の区別がつき難い。
去年も11月に半袖を着ていたし、いつまで暑いんだと思ったものだ。

そもそもお祭りも花火も人工物だ。
これらは夏以外にも開催されるし。
しかし蝉の音や自然の草花は、その季節にならないと聴くことも見ることもできない。
そういった自然の訪れこそ、純然たる季節の到来と言えよう。

蝉にも種類がある。
私が聴いた鳴き声は「シュワシュワ〜」だったので、おそらくクマゼミであろう。
近所の、庭が広いお宅の地面から頑張って出てきて羽化したのだと思われる。

ミンミンゼミやアブラゼミよりも鳴き声が控えめなので、それはまた趣があって良い。
シュワシュワ〜な蝉の音をよく聴こうと思って、窓を開けてしばらく耳を澄ませる。
どんな音楽よりも最高だ。


山に行けばもっと蝉が鳴いているのだろうか。
住宅地はコンクリートで覆われており、地面が剥き出しの場所が少ない。
そのため蝉の幼虫が潜んでいる部分も少ないのだ。
以前はもっと蝉の音がたくさん聴こえた。
それはもう五月蝿いくらいに。
今は音量が静かだ。このあたりは蝉の数が減っているのかもしれない。

庭いじりをしていると、たまに幼虫が出てくる。
蝉かどうかは分からないが、「ごめんね」と謝り地面に埋め直している。
ちゃんと羽化する時が来るまで地面の中でしっかり生きててほしい。
うちの庭を棲家にしてくれるのは嬉しい。
掘り返すとビックリするだろうから、いじるのも程々にしておかないとな。

今回はクマゼミの音が聴けたが、ほどなくミンミンゼミやアブラゼミ、ニイニイゼミやツクツクボウシやヒグラシなども鳴き始めるだろう。

夏に山に行ってみようかな。
きっと蝉の大合唱が聴けると思うから。
夏真っ盛りの贅沢な音色を。

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