日本修行編 第10話
ただいま療養中...
少しずつ、生きていくことへの活気も出てきた。
病み上がりとはいえ、ただ毎日部屋に閉じこもって、勉学に励むのは引きこもり耐性の高い僕でも、息がつまる。
そこで、自身の全ての源である食べ歩き活動を今まで以上に活発にやっていくことにした。
空気に触れてるだけで元気になっていく国アメリカへ向かった。
どうしても行ってみたいレストランが3件ある。
サンフランシスコにあるThe French Laundry(フレンチ・ランドリー)とThe Restaurant Bar at Meadowood(メドウッド)というミシュラン3星の2店と、N.YのBlue Hill at stone barns(ブルー・ヒル)(ミシュラン1星)だ。
超予約困難で有名なフレンチ・ランドリーは世界でも知らぬものはいないといわれるフランス料理のクラシックな技法をベースにカリフォルニアの豊富な自然環境で創りあげられたカリフォルニアキュイジーヌの第一人者でもあるシェフ トーマス・ケラーのレストラン。
僕が働いていたアリネアのシェフ グラン・アケッツもここでスーシェフ(副料理長)を勤め上げ、基礎技術を磨いた上でアヴァンギャルドなスタイルを確立していった。
メドウッドのシェフ コストゥは、数多くの日本人の研修先としても有名なフランスのレストラン** Le Jardin des Sens(ル・ジャルダン・デ・サンス)で修業の後、アメリカに帰国し、僕も働いていたことのある世界1位にも輝いたN.YのEleven Madison parkとThe NoMadのオーナーシェフ **ダニエル・フムの下で働き、メドウッドのシェフに就任した。
自家菜園の野菜たちをベースにナパバレーの環境を照らし出した料理を創られている。
N.Y郊外にあるブルー・ヒルは、なぜか1星とミシュランからの評価はイマイチだが、後に僕の人生トップ3に入るレストランの経験となる。
サステナビリティを世界的にも公言するだけでなく、農学校や農科学者と協力し、広大な敷地の中で、レストランを中心にサステナビリティ(循環)をまわしている。
肉も野菜も全て、敷地内で自ら育てた食材のみを使い、シンプルな料理の数々は、想像を上回るおいしさと楽しさに満ちている。
どれもが超予約困難店でネットで見るとどこもキャンセル待ちしかない、そこでアメリカのガストロノミーに行くさいは毎回使う裏技を使うことに...
アリネア時代のシェフ アケッツの元パートナーシェフをしていた、シェフ エリック(現在シアトル在住)にかなり気に入られていた僕は、彼に頼み1週間前でもVIP枠としてほとんどのレストランの予約を取ることができる。
2日しかいないナパ・バレーでは残念ながらフレンチ・ランドリーとメドウッドの日時が被ってしまい、迷った挙句、2店のメニューを何度も見比べイノベーティブ色の強いメドウッドに行くことにした。
泊まっていたホテルからウーバーで走ること20分、どでかい木製のドアに迎えられ、約4時間のディナーの始まりだ。
ナパのワインを中心としたペアリングとともに、素材の魅力を前面に押し出しシンプルながら前衛的な料理が運ばれる。クラシックなフランス料理がベースとあるだけあり、おいしさという根本を外さない料理の数々。
いくつか、VIP用の料理数品多く出していただき、最後キッチンでデカすぎる料理長とカリフォルニアという地の利について、料理を、1皿を創りあげる時のコンセプトなどと話を交わし、帰りのウーバーが到着するまでバーでお酒をいただきながら幸せな時間を過ごした。
ナパ・バレーには僕が大好きなワイナリーがある。
そこのワインは日本未入荷のため、現地で購入するしかなく、毎回テイスティングし数本だけ買って帰っている。今回は収穫の時期と重なったので、収穫前のぶどうも食べることができた。小粒だが、豊潤な甘みがたまらない。
僕のお店で独占輸入しようと思っているので、ワイナリーの名前はまだ隠しておこうかな。
サンフランシスコ市内へ帰る途中によったワイナリーCAYMUSでは、ものの10分で売店のおっちゃんと意気投合し、販売していないワインをプレゼントしてくれた。
こういう出会いや楽しみがあるから旅も食もやめられない。
その後、サンフランシスコ市内へ戻り、アリネア時代に仲がよかった同僚がスーシェフを勤めているミシュラン1星のカジュアルな名店 The Progressへ行った。
ここは、子連れの方にも自信を持ってお勧めできるいいお店だ。
大皿で取り分けるアラカルトがメインのワイワイ系のカジュアルでリーズナブルなレストランだが、食材はどれもサンフランシスコ近郊のオーガニック野菜、肉、目の前の海からとれる新鮮な魚介を使った料理でどれも間違いなくおいしい。
ここでも、例外なく注文していない料理もサービスでどんどん出てくる出てくる。
毎日、その日の朝とれたばかりのイワシでつくる自家製アンチョビがめちゃくちゃうまい。このアンチョビは絶対食べるべき。マストだ。
そして、船に弱いあの鮨職人の友達が待っているN.Yへと飛ぶ...
To be continued...
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