【ラノベレビュー 36】 『十二月、君は青いパズルだった』
こんにちは、Kanonです。今回は…
神鍵裕貴先生の『十二月、君は青いパズルだった』の感想記事です。
あらすじ
こんな人におすすめ
ファンタジー要素のある恋愛小説が好きな人
後半にかけて一気に伏線回収される物語が好きな人
ちょっぴり切ない物語が好きな人
感想
物語の構成がお見事
この物語の世界では、「パズル病」という病気が存在します。
それは自分の体の一部が自分の好きなものの記憶と共にパズルのピースのように抜け落ちていくという病です。
この"好きなものの記憶"というのがミソで、"好きな人にまつわるものももれなく好き"という着眼点が面白いです。
好きな人が好きな趣味。
好きな人が好きな食べ物。
好きな人と過ごした時間。
大切に思っている人の全てが徐々に記憶から消えていってしまう物語というのは、いつの時代でも人の心に哀愁を与えてくれます。
この物語、序盤ではヒロインの音葉が一見無鉄砲な行為をしているように映ります。
しかし、物語が展開していくにつれて「パズル病」の症状を前提として行為であることに説得力が生まれていきます。
そして最後には「もしかして…?」とあえて読者に展開を予感させることによってクライマックスへと繋げていく構成が見事でした。
物語の結末(若干ネタバレあり)
構成とクライマックスまでの展開がお見事でした。
「もしやバットエンド…」と読者に思わせることで最後の最後まで楽しむことができます。
少しネタバレをしてしまうと最終的にはハッピーエンドで終わるのですが、個人的に結末は少しだけ納得ができませんでした。
というのは、ラストの展開で音葉が記憶を取り戻す根拠というのが弱いような気がしました。
それまでの展開が絶望ルートまっしぐらな感じがあっただけに、音葉が記憶を取り戻すまでの過程が描かれていればより説得力のある結末になったように思います。
総評
結末に若干思うところがあったものの、トータルとしてはめちゃくちゃ切なくて色鮮やかな青春小説だったように思います。
こういうのを求めてるんですよ…
余談ですが、普段読書していると脳内で特定の誰でもない声がするのですが、この作品に限っては音葉の声が最初から声優の雨宮天さんボイスで再生されていました。
Audibleとかで雨宮さんの朗読版、でないかな…