会話という情報の膨張
情報には弾力があって。会話は、情報と情報の行き交いであり積み重ねであり広がりだ。xyz軸に分けられる。「話が弾む」という言葉があるように、それぞれの情報がうまく重なり合ったり、反発するようにして高さを作ったり、話題が幅を広げてたりすると、話は「膨らんだ」ことになる。質量こそ伴わないが、輪郭はない空間的なもので、体積はある。膨らみは楽しさに比例して膨張するものの、終わってみると散り散りになってしまう。具体的な情報は思い出せない。しかし心にはどうやら染み渡っていて、ふとしたときに「そう言えばこんな話したな」と顔を覗かせる。膨らみは環境・場にも左右される。偶然入ったビストロが雰囲気良く、前菜で頼んだイワシのマリネが美味しかったなら、不思議と各々から排出される情報量は勢いを持つ。けれど終わるときにはやはり散失してしまう。時間とともに、膨らみの中心部は早々に腐り原型を留めない。盛り上がりのピークである輪郭部分ですら酒が姿を曇らせる。
会話とは、スクラップ&ビルドに膨張する情報そのものだと言える。
▲少し前にオープンした兜町のホテル「K5」。コーヒーもあると聞いて行ったら、レストランもカフェもカフェバーもあった。ありがたいことにカフェバーは深夜1時まで。中国茶系をサーブいただける。