短編小説『因果応報』
人間嫌い
人間不信
人と関わりたくない
いや、長く関わりたくない
長く関わるとその人の本質が
見えてきて頭を悩ませるからだ
職場の上司はちょっと苦手、上司の噂もあまりいいものでもない、上司といるのは憂鬱だった
「おはよー」
彼女は前川さん俺の先輩だ前川さんも上司の悪い噂をよく知っている、というのも前川さんは上司の同期だったらしい昔は今よりもっと仕事が荒い人だったらしく今では落ち着いているがそのレッテルは剥がれず今も尚嫌わるているという
ある時、従業員がミスをしたそれを上司が見ていたらしく俺にこんなことを話しかけてきた
「あいつ使えねぇな、お前もそう思うだろ」
「いえいえ、そんなこと思いませんよ」
と笑って返したが腹が煮えくり返るほどイラッとした
「笑ってんじゃん!そう思ってるんだろ」
その時プチンっときて丁寧に説明した
「いえ、自分もまだ新米なのでそんな事を思う立場では無いです、それに自分のことで精一杯ですよ」
と今度はマジ顔で話した
「お、おう…そうか」
この一件から上司の悪い噂が本当だったんだと確信につき心底上司が嫌いになった
しかし悪魔も居れば、天使も居るその天使こそが前川さんだった、いつも俺を気にかけ大丈夫?と声を掛けてくれたり、頑張ってるね、ファイト!と声援を掛けてくれた、俺にとって前川さんは安らぎであったんだと思う、前川さんが居なければ精神状態が不安定になっていたところだ
それから2年後上司の噂がまた耳に入る
「あの上司、前川さんの事好きだったらしいよ」
「最近前川さんに付きまとって色々プレゼントとか送ってるらしい」
「前川さんも迷惑してるらしいよ」
凄い噂になっている…まさかあの悪魔と天使がそんな事に……しかし俺は仮にも部下で何も上司には逆らえない、聞いて、見て見ぬ振りしか出来なかった
最近前川さんと上司の距離が近く感じる、迷惑してるって言うのは間違った噂なのかな、なんだか心にぽっかり穴が空いたようだった
俺の仲間は居ない…
この空間でただ一人…
悪い方へ感情が傾いていった
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