下駄を履いているのは誰か
キャリアを積むとは
石を拾いながら道を進んでいくようなものだと感じる。
歩きはじめは小石から始まる。砂のような石、こぶしくらいの石。黒い石、淡い石、キラキラした石。
色々な石を、どけたり拾ったりしながら、ずんずん道を進んでいく。進みながら、道の脇に石を積み上げ山を作っていく。周りには同じように石を拾う仲間がいる。
たくさんの石を拾ううちに、好きな石、嫌いな石、重い石、軽い石、価値のある石、ない石、色々な石があることに気づいてくる。
良い石の見つけ方、
地面からの引き剥がし方、
小山を作り上げるのに適した形、
小山への持って行き方、
溜まる疲れへの対処法、
他の人の得意なこと、
他の人と協力しながら効率よく頑丈な山を作っていくには何が大切か、
どの道を選び進めば良いか、
石を拾い積み上げるうちに、たくさんのことを学んでいく。
そのうちにだんだん大きな石を協力して動かせるようになったり、より価値の高い石も拾えるようになってゆく。
より多くの、大きく、良い石を拾い、良い石がたくさん落ちている道を選ぶ方法を身につけられた人が、評価されていく。
まずは石を拾わないことには何も始まらない。学べない。
ここに子を抱いた女性がいる
10キロほどの子供を片手で抱いている。
小さな石は拾えるが、拳より大きな石は1日に一つも拾えない。
周りは「無理しないで」「大丈夫だよ」と言いながら、どんどん綺麗な石や重い石を拾い動かしていく。
そもそも女性に力仕事をさせるのは危ないので上司も重い石は拾わせないし、動かす苦労をさせない。失敗するかもしれないので「小さな軽い石」を拾うよう指示をした。拾えなくても山の形成には困らないやつだ。
女性は赤子が大きくなるまで小さな軽いを拾い続けた。途中で心が挫けそうにもなった。本当は、挑戦をしてみたかった。チームの役に立ちたかった。
時がたち、男性ばかりだった石拾いのリーダーを女性にもさせるべきだと世間が言い出した。
リーダーは突如として女性を抜擢しようとする。
女性は石を拾った数が圧倒的に少なかった。知らないことが多いので自信もない。だが、赤子は重かったので、自分との付き合い方は熟知していたし、腕力もあった。少しのことでめげない気持ちも持っていた。
チームは思う。口には出さないが思う。経験の浅い女性に下駄を履かせるのはどうなのか?
子供は二十年後、チームの一員となった
さて、本当に下駄を履いていたのは誰だろうか?
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