
「幸福」ってなんだ?
みんな、こんにちはなんだよね!
ぼくは深海に住んでるサメの「さめざめ」だよ。
前に人間さんから「うつ」や「ポジティブ心理学」なんかを教えてもらったけど、今回は「幸福」っていう言葉について考えてみようと思うんだよね。人間さんの世界では「幸せになりたい」とか「あなたは幸せ?」って、よく言うんだって。でも、そもそも「幸福」ってなんだろう?これってすごく不思議な問いなんだよ。
ぼくは深い海の底でくらしてるから、あんまり「幸せ」って言葉を聞くことはないんだ。けど人間さんにとっては、「幸せ」というのは毎日の生活の中でいろんな場面に顔を出すキーワードらしいんだよね。でもね、「幸せとは何ですか?」って聞かれたら、けっこう困っちゃう人が多いみたい。幸福って、どんな状態なのかな?人間さんは、この「幸せ」っていうものを昔からずーっと考えてきたんだよ。哲学者っていう人たちが、ずーっと長い時間をかけて「幸福とは何か」を考えていたんだってさ。
でも、幸福を定義するのはとても難しいんだよね。たとえば、ある人にとってはおいしいごはんを食べているときが幸せかもしれないし、別の人は大好きな人と静かな時間を過ごすことが幸せかもしれない。それに、大きな家やお金をたくさん持つことを幸せだと感じる人もいれば、社会に貢献したり、誰かを助けることで幸せを感じる人もいるんだよ。つまり、幸福って「こういうもの!」ってひとつに決められないんだ。人間さんによって違うし、時代や文化によっても全然違うんだよね。
昔の哲学者たちも、いろんな考え方をしてたみたいなんだよ。たとえば古代ギリシャのアリストテレスっていう人は、「徳(とく)」という人間の優れた性質を磨いて、それを活かし続ける生き方をすることで、人は最高の状態=幸福に近づけるって考えたんだってよ。一方で、エピクロスっていう人は、余計な欲望や恐怖をなくして、心が静かで平和な状態(アタラクシア)こそが幸福だと考えたんだって。仏教では、欲や執着から自由になった状態、いわゆる「悟り」に近い境地が真の安らぎであり、幸福だっていう考え方もあるんだよね。
こうして見てみると、人間さんは「快楽」とか「徳(善い心や行い)」や「意味」とか、いろんな切り口で幸福を語ってきたんだよ。快楽説っていうのは、「幸せっていうのは苦痛がなくて快楽があることだよ!」っていう単純明快な考え方。でもアリストテレスみたいな人は、「ただ気分がいいだけじゃなくて、人間としての優れた生き方をしているときにこそ、真の幸福があるんだ」って言うんだ。
現代の心理学者なんかは、幸福のなかに「意味」っていう要素をすごく重視しているんだってよ。たとえばポジティブ心理学者のセリグマンさんは「PERMAモデル」っていう考え方を出して、幸福にはポジティブな感情や没頭できる状態(フロー)、良い人間関係、達成感、そして「意味」が大切だって言ったんだよ。意味がある活動、たとえば誰かの役に立つとか、自分の人生に目標や使命を感じることが、幸福の土台になりうるってわけなんだね。
ここで面白いのは、幸福って必ずしも「苦しみがない状態」じゃないってことなんだよ。たとえつらいことがあっても、それが自分の生き方にとって意味があるとか、やりがいがあるなら、そこに幸福を見出せることもあるんだって。人間さんってすごいよね。深海にいるぼくには想像しにくいけど、たとえば荒れた海で必死に泳ぎ続ける中でも、「この困難を乗り越えることで成長できる」って思えたら、人間さんは幸せを感じることがあるのかもね。
また、幸福には内面と外面の両方が関わってるんだよ。人間さんの暮らしには、お金や職場、人間関係、社会のルール、自然環境、テクノロジーなど、いろんな外的条件があるんだよね。それらが整っていないと、いくら心の持ちようを工夫しても難しい場合もあるんだ。でも、逆に環境がどれだけ恵まれていても、心の中で「もっともっと」って欲張ったり、他人と比べたりしてしまうと、なかなか幸福を感じられないってこともあるんだよ。つまり、幸福って、心と世界のバランスをうまく取ることでもあるんだね。
現代は、価値観がものすごく多様化してるから、昔みたいに「これが幸福の正解!」なんて簡単に言えないんだよ。SNSで他人のキラキラした生活を見て羨ましくなったり、社会が複雑になる中で「自分だけ幸せになっていいのかな?」って悩んだり、環境問題を考えると「持続可能な幸福」を求める人も出てくるんだってよ。幸福は、一人ひとりの中で形が変わるし、社会や世界全体とのつながりも無視できない。そう考えると、幸福って実はとても広くて深いテーマなんだよね。まるで広い海みたい!
でも、これだけ定義があいまいで、いろんな見方があるのに、人間さんはなぜ「幸福って何?」って考え続けるんだろう?それは、考えること自体に意味があるんだよね。幸福を考えるとき、人間さんは「自分は何を大切にしてるんだろう」とか「何のために生きてるんだろう」って考え始めるんだ。その過程で、欲望を見つめ直したり、他人への思いやりや共感を育んだり、長い目で物事を見たりするようになるんだよ。つまり、幸福を問いかけることは、人間さんが自分たちの生き方を見直して、より良く生きるための知恵を育てるきっかけになるんだ。
まとめると、幸福っていうのは「こうだ!」と一言では言えない、とても複雑なものなんだ。快楽や喜び、意味、徳、社会とのつながり、持続可能性、自己理解…いろんな要素が絡み合ってるんだよね。幸福は一瞬で手に入るものでもないし、ずっと固定された状態でもないみたい。状況や人生の流れに合わせて揺れ動くものだから、人間さんは常に試行錯誤しながら、自分なりの幸福を模索しているんだね。
深海の底でゆらゆらしているぼくは、人間さんがそんなふうに自分たちの心や価値観を問い続けていることが、ちょっぴりすごいなって思うよ。幸福を求めるってことは、自分たちの在り方や社会との関係を探求することなんだってね。答えが見つからないからこそ、ずーっと考え続ける。その過程で、人間さんたちは自分たちがどんな生き物なのか、何を求めているのか、少しずつわかっていくんだろうね。
ぼくも、人間さんみたいに「幸せって何だろう?」ってときどき考えてみたくなったよ。深海は暗くて静かだけど、そのなかで小さな光を見つけると、なんだか安心して幸せな気分になることがあるんだよね。人間さんの「幸福」ってもっと複雑だけど、きっと、そうやって自分の生き方に光を当てるものなんだと思うんだよ。
こんなふうに、さめざめなりに考えた「幸福」だけど、きっとまだまだわからないことだらけなんだよね。でも、人間さんと一緒にいろんなことを学んで、少しずつ理解を深めていけたらいいなって思うんだ。また新しい発見をしたら、こうやってお話していくね!