見出し画像

ドームの設計① 〜自作プラネタリウムのススメ〜

こんばんは。芝学園天文気象部のプラネタリウム班担当者です。この記事では、自作プラネタリウムに必須の投影用ドームの設計方法について解説します。

1、ドームの形状決定

ドームの種類には、組立式ドームとエアードームという、大きくわけて2つの種類があります。前者は自立式であり、後者は送風機を使って膨らませるタイプになります。他にも、上から吊るすタイプなどがありますが、ここではメジャーな2つのドームについて解説します。

❶組立式ドーム

自立式であり、ドームの形が崩れたりしないという利点があります。外枠を作って布で覆うものや、段ボールなどの硬い素材で組み立てていくものがあります。分解保存ができるので、場所を取りません。従って、保管場所が少ない時はお勧めです。

これの欠点は、プラネタリウムを行う際に、毎回組み立てを行う必要があり、作業が煩雑になってしまうということです。使用頻度が多かったり、準備に時間をかけたくない方にはお勧めできません。

❷エアードーム

エアードームは、布を半球になるように作り、そこに空気を送り込むことで膨らまさせて、ドームにします。送風機で膨らませるだけなので、準備が比較的簡単です。

これの欠点は、人が出入りするときに、ドームの内圧が弱まり、形が崩れてしまうことです。ドームの重さや送風機に強さによりますが、出入りの際ドームを中にいる人で支えてもらう必要が出る場合もあります。また、分解ができないのでどうしても容積がかさばり、保管する際に邪魔になってしまいます。十分な広さの保管場所がない場合は、お勧めできません。

画像2

エアードームの仕組み

2、ドームの素材決定

ドームに適した素材は様々あります。それぞれ一長一短ですので、自分の用途・目的に合わせて選びましょう。

まず、基本として投影面は白が最適です。逆に、暗幕など黒いものは使用できませんから、気を付けてください。

選ぶポイントとしては、防火性、重さ、値段、購入方法の簡単さがあります。それぞれ解説をします。

❶組立式ドーム

①段ボールドーム
組立式ドームの中では最も無難なものです。余った段ボールを使ってもいいですし、素材を購入してもいいですが、とても安価で軽いです。

ただ、皆さん知っての通り段ボールは壊れやすく、もろいです。使い方や保管方法が雑な場合、すぐ壊れます。

さらに、段ボールは簡単に燃えます。万一投影機がショートしたり、外で火災があった場合、ドーム内にいる人に危険があります。安全性という意味ではあまり優れていません。

それから、遮光性を確保することが非常に難しいです。真っ暗に遮光された部屋が確保できない場合、これは適していません。

②外枠組立
こちらは、曲げた金属パイプや木材を用いて組み立てるドームです。外枠を金属や木材で作ったあと、そこに投影用の布をつけます。

これの欠点は、製作が難しく、外枠の保存場所が大きいという点です。金属パイプを正確に曲げる加工が必要ですし、半球になるように布を加工しなければなりません。製作の煩雑さを考えれば、これを作るなら、エアードームの方が良いと思います。(このシリーズで詳しく取り上げません)

❷エアードーム

①ターポリン
塩化ビニル製で、防炎、防水が担保されています。内外で火災が起きても安心で、汚しても染みがつかないです。また、繊維が非常に丈夫で破れにくく、長年使用しても問題がありません。

欠点は、とにかく重いということです。1㎡あたり420gもありますので、大きいドームを作ろうとすればするほど重くなります。また、かさばるので保管場所も注意する必要があります。

それから、高価です。1㎡あたり2000円弱ほどで、ドームの大きさによっては軽く5万円を超します。予算を少なくしたい場合はお勧めできません。

購入先は木下資材がお勧めです。1mからカット販売を行っているので、自分の使う分だけを買うことができます。

②遮光ターポリン
ターポリンの遮光版です。ドームを使用する部屋が十分に暗くできない場合、お勧めです。完全な遮光性があるわけではありませんが、部屋の電灯を消すだけで昼間でも十分暗くなります。

ただ、ターポリンと性質は似ているので、防火・防水には優れていますが、重くて値段が高いです。ただのターポリンに比べて遮光ターポリンは1割高くらいです。

遮光性を確保したい場合お勧めですが、予算を少なくしたい場合や軽量化したい場合はお勧めできません。

購入先は木下資材がお勧めです。1mからカット販売を行っているので、自分の使う分だけを買うことができます。

③白黒遮光フィルム
冷凍食品の外装や栽培用の布に使われる素材です。遮光性があり、ターポリンに比べて軽く、防火・防水に優れています。

ターポリンとは違い比較的安価ではありますが、それでも1㎡あたり1000円ほどのコストがかかります。また、大きい単位での購入が難しいことも欠点です。

この素材はターポリンよりお勧めです。遮光性を確保したい場合には最適です。製造会社は主に武田産業があります。個人的に購入できるかは分かりませんが、検討してみて下さい。

④ポリエステル塩ビシート
ペットボトルの材料としてよく使用されるポリエステルに塩ビコーティングを施したシートです。防火・防水性に優れて、丈夫な素材です。また、先に紹介した3つの素材と比較して非常に軽く、運びやすいです。

値段も安価で、1㎡あたり200円ほどです。モノタロウやAmazon等大手通販サイトで購入できます。

欠点としては遮光性がないということです。遮光性を求めるなら遮光ターポリンか白黒遮光フィルムでしょう。

⑤その他
他にも、ビニールシートを使う例もあります。ただ、ゴワゴワしていて星が歪んで見えてしまうなど、欠点があります。王道はここで紹介したので、以上の4つの中でまずは検討してみて下さい。

3、ドームの形状・素材まとめ

表にまとめてみましたのでぜひ参考にして下さいください。

画像1

【参照】

木下資材ホームページ
武田産業ホームページ

次回の記事

次回はエアードームの大きさや形、作成方法について載せます。


いいなと思ったら応援しよう!